関西有数の高級住宅街で知られている芦屋には主に2本の川が流れている。芦屋川と夙川である。そのどちらも桜の名所として知られ、春の季節になると花見客で賑わう。
夙川の桜がよく取り上げられているが、筆者はどちらかというと芦屋川沿いの桜の景色の方が好きだ。生まれ育った場所で幼い頃から見慣れていた風景でもあるからだろうか。懐かしさと程よい川幅と、上流へさかのぼって行くに従って、緑萌える六甲山を背景に添えながら様々な顔を見せてくれる桜の景色がお気に入りである。
休日には連日で桜祭りが開催され、沿道にはお店が並び、花見客の賑わいはピークに達する。今年も休日が満開の時期と重なったので、大いに賑わった事だろう。
平日にふらりと出かけた。阪神芦屋駅下車で、そのまま川沿いに北上していくと、まずは芦屋教会の桜を見る事が出来る。
更に北へ進み、国道2号線を渡ると、ここからが本格的なお花見スポットとなる。
瀟洒な家々に囲まれながら咲き誇っている桜は、他では見られない気品を漂わせている。
阪急芦屋川を越えると、そこからまたガラリと様相が異なってくる。緑の色合いが濃くなり、そこに仄かなピンクに色づいた桜が山の景色に彩りを添える。
夜になるとライトアップもされるので、夜桜も楽しめる。平日には会社帰りの通行人がちらほらと通る程度で、混雑もそれ程ではない。石のベンチでサラリーマンらしき男性が一人で弁当を広げて、酒を片手に花見に興じている姿があった。
最寄り駅は阪神芦屋駅、JR芦屋駅、阪急芦屋駅と、どこからでもアクセスできるので利便性にも富んでいる。芦屋には他にも隠れた桜の名所があるが、今回はこれにて稿を閉じたい。