400mmの超望遠レンズを購入したときにどうして動物園に撮りに行こうと思わなかったのか。その時は鈴鹿サーキットにレーシングカーを撮りに行きたいという思いが強くて動物園のことは選択肢に思い浮かばなかった。
先日ツイッターで上野動物園のパンダが話題になった折に、神戸の王子動物園にもパンダがいるというツイートがTLに流れてきて、頭の片隅に残っていたのだろう。ふと動物を撮りたくなり突発で行ってきた。
JR灘駅を北にまっすぐ五分歩いたところに王子動物園はある。ゲートでお金を払い、中に入る。コープの会員証を持っているので60円割引で大人一人540円。平日の午前だったためか人影もまばらで、むしろ動物たちの方が多いといった感じだ。
早速大勢のフラミンゴが「ふがあ〜ふがあ〜」とお出迎え。昔阪神甲子園球場の隣に阪神パークという遊園地があったが、そこも確か入ってすぐのところにフラミンゴがたくさんいたと記憶していいる。阪神パークは他の関西の遊園地、宝塚ファミリーランドや奈良ドリームランドと同じく、USJの開園によって入場者数が激減して閉園してしまったが、かつては王子動物園と同じように、象やキリンやレオポンといった動物の他にも、たくさんの乗り物がある賑わった複合型の遊園地だった。
そんな思い出深いフラミンゴは後にして、猛獣エリアへ。今回使用した機材はフルサイズ機Canon 5DsRとCanon EF400mm F5.6 L USM。
虎。この風格。この柄。映える。飼育員が近づくと同じように近づいてきて、ガラス越しに顔をこすりつけごろんと仰向けに寝転がってだだをこねる。
ライオン、ジャガー、ユキヒョウと続く。真っ黒なジャガーは木の上に洗濯物のように寝そべっていた。動いたりしてとても可愛い。猛獣とは思えない仕草。
最近知ったのだが、ライオンは雄ではなく雌が狩りをするそうだ。あれだけ立派なたてがみを有しているならいかにも獰猛に狩りしそうなものだが意外。人間社会もかくあれかし。
ユキヒョウはレンズを向けるとかっこいいポーズを撮ってくれたが超望遠レンズだったために近すぎてAFでのピントが合わず、シャッターチャンスを逃した。少し気が緩んだ顔のユキヒョウ。
どの猛獣もガラス越しに撮るのだけれど、ガラスがやや曇っているせいかAFでピントが合っているのかどうか、等倍表示しても確認しずらい。シャッタースピード1/640秒や1/800秒では足りないのではないかと思われるくらいにどうも目元がブレているように見えるが、これはピントが合っていないからブレているように見えるのかもしれない。
試しに動物を解説している看板の文字を撮ってみたが、ブレずにくっきりと写っていた。やはり仕切りの窓ガラスのせいでピントが合いにくいのだろうか。
初めて撮る猛獣、構図はどうすべきか迷ったが上手く収まるようにした。
鳥もたくさんいた。鳥も人間と同じく逆光で撮ると映えるのではないだろうか。
お目当てのレッサーパンダのコーナーへ。猛獣は鈍重な動きだったが、こちらは素早く木々をすいすいと動き回っている。じゃれ合ったりしている姿も可愛いのだが、超望遠レンズだったので近すぎてピントが合わずその姿を克明には撮れなかった。下の方を走り回っている愛くるしい姿も撮れない。
コアラは屋内に何匹かいたが、どれもユーカリの木にとまって目を固く閉じて寝ていた。ISO感度を3200まで上げるとようやくコアラを捉えることが出来た。
こんなことなら超望遠レンズの他に、85mmや55mmの単焦点レンズも持ってきた方が良かった。超望遠レンズ、長すぎてAFでピントを合わせるためには距離を取らなければならない。マニュアルフォーカスだとAFが迷っていた距離でもピントを合わせることが出来た。
これは鷲か鷹か。よく動物園で撮るときは、望遠レンズを使って小さいF値の設定で撮れば檻がぼけると言われているが、被写体がいる場所によっては上手く檻が消えてくれない。F5.6という大きめのF値がだめなのだろうか。サンニッパが欲しくなってくる。しかし後ろの緑は綺麗にぼけているから鷲の勇壮さが際立つ。
さてアシカ。順光だとくっきりと写る。問題は背景をどう整理するか。後ろの階段が余計かなとも思ったが、移動してくれないのだから仕方がない。これも時の運だろう。
逆光でも撮ってみた。このアシカさん、美人。
お猿さんのコーナーへ。日本では見かけない珍しい猿がたくさんいた。仲良く毛繕いしていたり、何かを床にペチペチと物を加工するように叩いて一人遊びしていたり。よく見ると顔がイケメン。
広場にはチンパンジーもいた。餌をもらっているオランウータンやタイヤに腰掛けている哲学者のような猿も。
熊は怠そうに寝ていた。シロクマは集まっているお客さんを意識してか、奥の入り口から出てきて動き回っている。上からも見れるし、下からは水中で泳ぐ姿も見えるようになっている。つくづく超望遠レンズだけでなく標準レンズも持ってくれば良かった。水族館と同じく24-70mmF2.8のようなレンズが重宝するかもしれない。
動物ふれあい広場では、ポニーや羊、鶏、ウサギなどと触れあえることが出来る。ガチョウに抱きついているおばさんがいて楽しそうだった。僕も抱いてみたら良かったかなぁ。
ゾウもいたが頭をぶつけ合っていた。喧嘩だろうか、じゃれ合っているのだろうか。
最後にまた虎のコーナーへ。曇っていないガラスの部分を見つけると綺麗に撮れた。ピントはマニュアルフォーカスで合わせる。超望遠レンズでF値も5.6なせいか合わせやすい。がちピンかどうかは分からないがウェブで縮小してみる分には許容範囲だろう。フィルム時代はパソコンの大画面で等倍確認することなんてことは当然無かっただろうから、ピントに気を病みすぎることもなかったのだろう。
肝心のパンダは外に出てこなかった。屋内で寝ていたのだが、暗すぎて写らなかった。
神戸市立王子動物園に持っていきたいレンズ
今回はフルサイズ機Canon 5DsRとCanon EF400mm F5.6 L USMという組み合わせで撮っていったのだけれど、超望遠レンズが役立つときもあれば、超望遠であるが故に撮れないシーンもあった。
レッサーパンダやコアラなどは50mmや85mmの単焦点レンズが重宝しそうだ。特にコアラは屋内で暗いので、開放F値で撮ると明るく撮れるし背景もぼけてよさげ。後はコアラ全体をボケずに綺麗に写すためにどこまで絞るか折り合いをつけることだろう。400mmの超望遠レンズだと距離を取らなければならず撮りにくいし、距離を取れば木の上に上っているレッサーパンダは撮れるが、下の方を動き回るレッサーパンダが撮れない。
猛獣コーナーは超望遠レンズが役立ったが、それでも400mmでは距離を取らなければならず、やや不便。焦点距離200-300mmがちょうどよさげだ。上の窓からも見下ろすことが出来る。ライオンの2匹は岩の上に寝ていたので、上の窓からの方が近い。50mmや85mmのレンズが役立ちそうだ。
水と戯れるアシカやシロクマなどは広角から中望遠の焦点距離がちょうど良いだろうか。超望遠レンズしか持ってきていなかったために、スマホで撮った方が楽かもしれないとも思った。
動物園で動物を撮るには望遠レンズが良いと思っていたが、距離が近い動物たちもいるので、望遠レンズの他に、標準レンズや中望遠レンズ、24-70mmのF値が小さめの明るいズームレンズを持っていくのもよさげだ。
今回は400mmの超望遠レンズ1本だけを持ってきて上手く撮れないシーンもありちょっと失敗した感があるので、望遠レンズにあと1本、暗い屋内でも明るく撮れる標準か中望遠の開放F値の小さい単焦点レンズを付け足したいところだ。