レンズをたくさん所有していると、撮影の折にアレもコレも持って行きたいと思うものだが、レンズの数が増えれば増える程、荷物は重くなるし、高級レンズとなると一本当たり1㎏を超えるレンズもあるので、大変なことになる。
実際にたくさんレンズを持って行って1回も使わなかったりほとんど使わないレンズもあるので、そういう時は無駄に荷物を増やしてしまった事を後悔する。荷物は出来るだけ軽い方が良い。野外ロケとなると荷物が重い分、体力もそれだけ消耗する。
先日スタジオに10人の大型併せを撮りに行ってきた。スタジオは距離が取りづらい場合が多い。そうなると持って行くレンズも消去法で厳選されていく。
まず85mmの中望遠レンズは使えない。部屋を模したスタジオで使うには焦点距離が長すぎてフレームに入りきらない。APS-C機だとフルサイズ換算で136mmになる。そうなるともう望遠域だ。
50mmの単焦点レンズが最も使いやすい。モデルも背景も綺麗に収まる。
この日は55mmの単焦点Otus1.4/55、手ブレ防止付きのズームレンズCanon EF24-70mm F4L USM、Canon EF24mm F1.4L Ⅱ USMの単焦点レンズの三本を持ってきたが、実際に使ったのは55mmと24-70mmの2本だけで、広角単焦点レンズの出番はなかった。なぜか。
スタジオ内では余り暈かして撮ることがない。白ホリで開放で暈かす事はほとんどないし、野外撮影のように開放F値に設定して暈かしすぎて撮ると、せっかくの綺麗な背景や小物類がなんなのか分からなくなってしまう。コンセプトスタジオに来たのなら、背景や小物類もクッキリ写すか、程よく写る程度に撮るのが良い。
だから単焦点レンズでも、この日はF6.1以上に絞って撮ることが大半だった。どうしても二人にフィーチャリングしたい場合は、開放F1.4で暈かしたが、屋内でストロボを使って明るめかつ開放で撮ると、肌の描写を綺麗に出すのが難しい事がある。だからなるべくなら絞って撮りたいという心理が働く。
そしてこれだけの大人数となると、自然とフォーメーションも限られ、構図も限られてくる。55mmの単焦点レンズ1本で絞って撮れば、どんなフォーメーションにも対応できてしまう万能レンズとなる。
24-70mmのズームレンズも着けてはみたが余り出番がなかった。まず広角域で撮ることが少ない。人物を歪みなく素直に写したければ、標準域の焦点距離で撮ることになるからだ。
この日はキンプリのアニカフェ併せのコスプレ撮影だったが、グッズのストラップのイラストを再現したいということで、布を白ホリに見立てた背景で撮っていった。広角で撮ってしまうと、歪みが生じ、再現できない。
それに広く映りすぎてしまう広角レンズは、スタジオ内の余計な物まで写しこんでしまう。このスタジオは1つの部屋に様々なシチュエーションが用意されているので、別のシチュエーションが写り込まないように切り取って撮らなければならない。標準レンズが最適というわけだ。
最後に寝ころびを撮ったので、ここでは持参したズームレンズが威力を発揮した。上から撮る場合は、55mmでは距離が取れず、脚立に乗っても撮れない。35mm位の焦点距離でようやく楽に撮れるといった具合だ。
この日はいつもよりも1、2本少ない3本のレンズを持参したが、結果的には2本しか使わなかった。経験を積んで撮影シーンに応じてレンズを厳選できるようになれば良いだろう。