写真データのバックアップを取っている外付けハードディスクの一つが調子が悪くなった。外付けHDDは全部で9台保有しているが、そのうち調子が悪くなったのは2台。その2台とも購入してから2、3年程度しか経っていない。
ハードディスクの寿命は一般的に5年と言われているが、仕事で使用しているパソコンとは違い、外付けハードディスクはバックアップを取っている時間以外は電源をオフにしているので、理論上は20年以上長持ちしていてもおかしくはない。ところがたった2,3年で調子が悪くなってしまった。1台はパソコンに接続中5分か10分経つとハードディスクが停止する。もう1台は接続してハードディスクは唸っているが、HDDアイコンがパソコンの画面に表示されないので、ファイルにアクセスできない。上手く接続できていないということだろう。
どのメーカーが悪いという事は無く、中に入っているハードディスクの当たり外れが大きな要因らしい。18年くらい前に購入した250GBのアイオーデータの外付けハードディスクは未だに動いているが、4年程前に購入した同メーカーの3TBの外付けHDDは調子が悪くなるといった具合。もう1台調子が悪いのはBUFFALOの外付けHDDで、結局どのメーカーを選べばハードディスクのアクシンデントが防げるというわけでもなさそうだ。ちなみに5年ほど前にNECの家庭用ハイスペックパソコンを17万円で購入したが、1年半でハードディスクがアクセス不可となり、保証適用期間内で無償修理となった事もある。バックアップを取っていなかった貴重な写真は2度と取り戻せない事態となってしまった。
さて、どちらの調子の悪い外付けHDDも再度繋ぐことで、何とか正常にファイルにはアクセスできるが、このような不安定な状態ならいつ壊れてアクセス不可になってもおかしくないので、新しい外付けHDDを購入しようかと検討したのだが、いっそNASを構築しようかと考えた。
NASを構築するに当たって疑問点が幾つか浮かび上がった。
まず設置場所。NASの製品を見ると結構大きな筺で、置き場所に困りそうだ。確かインターネットと繋ぐことになるから、ルーターの近くに置かなければならず、置く場所が限られてしまう。家の電話の近くにルーターがあるが、NASの大きな筺を置く余裕がない。
そこでNASをWi-Fiを使って無線でパソコンを繋ぐことは出来るだろうかと考えた。要はパソコンがインターネットと無線Wi-Fiで繫がっているのと同じような感じ絵で、NASもインターネットと繋げられないだろうかということだ。
もう一つの疑問は、どれくらいの容量を収納できるのか。NASの製品によってハードディスクの容量が異なる。今現在保有している外付けハードディスクの容量は、全部で19TB。これだけの大容量のデータを1台のNASの中に収めることが出来るのだろうか。
また出来たとして、筺の大きさやお値段はいくらくらいに膨れ上がるのだろうか。
小さめのNASの筺を買って、必要なデータを格納しているハードディスクだけをその都度取り出して繋ぐという方法も考えたが、それだとパソコンから簡単にアクセスできるNASの利便性が台無しなのではないかと考え直した。またその方な方法が可能だとして、ハードディスクの価格を考慮した場合に、そのような手間のかかる方法なら、外付けハードディスクのバックアップの取り方と大して変わらないのではないか。
またバックアップといえば二重に取る方法が考えられるが、RAIDも組めるという。しかし40TBは必要になるから、費用が嵩みそうだし、組むのが難しそうというイメージがある。
NASの疑問点
- NASをルーターにではなく、Wi-Fiで繋げられないか。
- 20TB程バックアップを取りたいが、収納できる容量はどれほどか。
- 内蔵型ハードディスクを外付けハードディスクのように使えないか。
- 必要なハードディスクをその都度NASに入れ替える方法で簡単にアクセスできるか。
- RAIDは組むのが難しそうな上に費用がかかる?
NASについてはほとんど知識が無い。そこでネットで色々調べてみることにしたが、複数の検索キーワードで出てきたサイトがキュレーションメディアで、内容に信頼が置けないので、なるべく大手のサイトを参考にすることにした。なぜ新興のキュレーションサイトがダメかといったら、以前にもバイトを雇ってネット上の記事を寄せ集めてリライトしていた点が問題になったが、最近また広告収入が主眼の目的と化したキュレーションメディアが息を吹き返してきていて検索に引っかかったりするのだが、たとえばソフトボックスに関する記事が、上澄みだけを羅列しているだけの全く役に立たない代物だったので、この手のサイトは記事の深みがないという点で一切信用しないことにした。
検索している内に、数年前に購入していたBUFFALOのNASの写真が出てきた。あぁ、そういえばNASを1台買っていたが、1TBくらいしか要領がなくて、電話の近くに置かなければならないしスペースも取るし電気代もなんか勿体ないし、電源入れっぱなしにしていたらハードディスクなんて繊細な製品は5年で故障するだろうし、結局用途もないからと箱に仕舞ったのだった。
大体今の時代、iPhoneの容量も256GBあるし、撮影したRAWデータをわざわざ外出先から閲覧することもないし、撮影中に参考にしたい写真なら検索すれば出てくるし、容量の小さい書類関連のファイルもAppleのiCloudで簡単に共有できるから、わざわざ1TB程度のNASを稼働させる理由が見当たらない。
しかしひょっとしたら、外付けHDDを買うよりもNASを構築した方が利便性が高まったり、費用を安く抑えられるかも知れないという期待感から、調べていくことにした。
まず行き着いたのがアイオーデータのサイト。
NAS(ネットワークHDD)とは?(アイオーデータ公式サイト)
3つの項目に分けてNASの利点について簡潔に分かりやすく解説してある。
- 複数のパソコンでデータを共有できる。
- 外出先のスマホでデータを閲覧できる。
- 写真や動画、音楽ファイルの管理が出来る
BUFFALOやパソコン工房のサイトも分かりやすかったので掲載しておく。
NASってなに(BUFFALO公式サイト)
NASの基礎知識(パソコン工房)
ではアイオーデータの製品が良いのだろうかとアマゾンでレビューを見ると、決してそうとは言い切れないことが分かる。
I-O DATA NASキット(HDD無し) HDL2-AA0/Eのレビュー(Amazon)
ハードディスクが着いてこないバージョンは、どうも初心者には扱いづらい製品みたいだ。
Amazonで検索すると類似の商品が羅列される。Synology DiskStationという製品がレビューが一番多かったので観てみることにした。しかし様々な品番が用意されており、しかもUSBメモリ32GBセットも用意されている。USBメモリとNASに一体どういう関係があるのかサッパリ分からない。
「この商品を買った人はこんな商品も買っています」という項目に、内蔵ハードディスクがたくさん出てくる。値段を見ると、3TBで8,100円と、外付けハードディスクよりはやや安い。また赤いラベルのWD(Western Digital )製のNAS専用のハードディスクというのもあり、こちらも評価が高いが、価格が通常より若干割高となっている。しかもレビューをよく見ると、爆熱ですぐに壊れあとある。しかしどの製品もすぐ壊れたという低いレビューが存在しているから運の問題か。一体何を買えば良いのか。Seagate BarraCuda 3.5は4TBで7,500円、6TBで11,600円とかなりリーゾナブルだ。外付けハードディスクのほぼ半額だ。これだとNASを構築した方が良いのではと思えてくる。
しかしここで一つ思いついたことがあった。外付けハードディスクではなく、内蔵型のハードディスクを買って、USBでパソコンと繋ぐことは出来ないだろうか。結局写真のRAWデータや動画のバックアップ用なら、常時接続である必要はほとんど無く、倉庫代わりに使えれば良い。
しかし設定が難しそうだし、調べてもあまり出てこない。それならNASの方が利便性が高いし確実か。
今現在の目的がRAWで撮影した写真データのバックアップを取りたい。出来れば二重に取りたいという目的で、とりあえず手元にあるデータの総量量が20TBなので、仮にバックアップを取るなら、ハードディスクの値段を抑えることが出来れば良いというのもある。
6TBで11,000円のハードディスクでバックアップが取れるなら、とりあえず4台で事足りるし、今現在の外付けハードディスクは温存しつつ、殉じバックアップを取っていけば、お財布の負担にもならないのではないか。とりあえず6TBの要領があれば、外付けハードディスク2台分をバックアップできるのでお得でもあるし、当分追加で購入する必要もなさそうだ。
問題はハードディスクの耐久性だ。6TBのハードディスクが何らかの故障で読み込めなくなったら、元も子もない。ハードディスクのメーカーの選別と、やはり二重のバックアップが必要という事になる。
ここまで調べて、最初の疑問点から、次のような疑問点に移行した。
- 用途は写真のRAWデータのバックアップ
- 内蔵型ハードディスクが外付けの約半額なのでNASが良いか?
- 故障しないハードディスクの選別
- RAIDを用いた二重のバックアップ体制が欲しい
- NASにすれば今は必要なくても将来的に共有や外出先からの閲覧が可能
NASには個人用と企業用がある
調べていくと、NAS二は個人用と企業用があることが分かった。
個人用は家族など共有する人数が少ない一方、写真や動画など扱うファイルサイズが大きくなる。
一方企業用は、扱うファイルは仕事で使う文書や表計算などの容量が小さいファイルだが、同時に共有する人数が多くアクセスが集中するため、CPUやメモリの性能が高くなければならず、その分高価になる。
RAIDは主に企業用だが、2台体制でも壊れる物は壊れるから、個人用なら別の方法でのバックアップで二重体制にするのがベターともある。要は個人ではRAIDにすると金がかかるから、別の方法を採れということか。しかし内蔵型ハードディスクの値段を見ていると、RAIDが一番安上がりで済むような感じはする。今までの値段の推移を追うと、将来的に大容量ハードディスクの値段は下がりそうでもある。
信頼性の高い内蔵型ハードディスク
お薦めNAS用ハードディスクで検索すると、エキサイトのランキングが出てきた。
【簡単ハイスペック】大人気のNAS用のHDDおすすめランキング10選(excite)
やはり朱ラベルのWBのNAS用ハードディスクをプッシュしているが、信頼性の観点から、第1位には東芝の内蔵型ハードディスクが選ばれている。
しかし値段はやや割高で、3TBで8,680円。6TBなら17,000円と、先ほど見たシーゲートよりも5,000円ほど高い。
東芝 TOSHIBA 3.5インチ 内蔵 HDD 8TB 128MB SATA 6Gbit/s 7200rpm ハードディスク MD05ACA800
東芝の8TBの内蔵ハードディスクが19,800円と驚きの安さ。6TBは88,000円となっているのは相場が供給量で上下してプレミア価格がつきやすいAmazonらしさか。
Yahoo!ショッピングで最安値を調べてみると、BTOパソコンで有名なツクモが19,800円。ちなみに同じ要領のSeagate製は15,800円で4,000円ほど安いが、4,000円で信頼性を買うという見方も出来る。
では肝心のNAS本体はというと、初心者向けが1ベイで12,000円と安いが、1ベイだとハードディスク一個しか収まらないから、先の東芝の製品を購入しても8TBしかバックアップが取れない。では2ベイや4ベイ、6ベイの製品はどうかと調べてみると、3万円4万円6万円と価格が高くなってきて本末転倒の感がある。結局7年分の撮影活動におけるバックアップ体制構築の怠慢が、今になって価格にのしかかってきたという感がある。
そもそも共有不要で外出先からの参照も不要ならNASではなく、外付けハードディスクでちまちまバックアップを取っていた方が経済的にも安くて済むということか。振り出しに戻ってしまった。
ドライブケースで内蔵ハードディスクを外付けハードディスクのように使う
では一緒最初に提起したように、内蔵型ハードディスクを外付けハードディスクとして使用する方法はないかと検索してみたら、ドライブケースを買って内蔵ハードディスクに設置すれば、外付けハードディスクのように使用できることが分かった。
- 内蔵ハードディスクもドライブケースを買えば外付けHDDのように使える。
- 設定が面倒くさそう。
- 敢えて安めの内蔵ハードディスクでバックアップ。
しかし製品レビューを見るとこれもまた悪いレビューが目立ちそちらに目が行ってしまう。なんだか面倒くさそうだし、結局外付けハードディスクでバックアップを取った方が良いのではないかという結論に今回も至った。
結局この記事を書いてから2週間ほどして、ムラウチ.comから外付けハードディスクが大特価というダイレクトメールが来たので、BUFFALOの3TBの外付けHDDを送料込み7,928円で購入。送料無しだと7,280円だが、送料込みの価格でも他のサイトより1,000円ほど安い。安すぎてすぐに壊れないか心配だが、レビューを見ると評価は高いがレビューが11個しかなくあまりアテに出来ない。とりあえず他のレビュアーが書いていたように緊急避難用のバックアップとしてはちょうど良いだろう。