もしあなたが10年前にRAWモードで花火を撮っていて、記憶の中で忘れかけていたとしたら、思い出してみるといいかもしれない。その中にお気に入りの写真はなかっただろうか。過去の写真をRAWで撮っていれば、あなたのイメージ通りにその写真を甦らせることが出来る。
一眼レフデジカメを始めた頃は、まだその使い方も分からず、設定方法もあやふやで、ただ見様見真似で撮っていた。今回ブログに花火の撮り方に関する記事を書くことを思い立ち、ふと昔撮った花火の写真を見返してみたら、お気に入りの写真を見つけたので、RAW現像することにした。RAW現像にはLightroomを使うことにした。DPPver.4は5Dに対応していなかったからだ。
作例の写真は、今からちょうど8年前の2008年に撮影した花火の写真だ。使用カメラはCanonの初代5D、フルサイズ機。装着していたレンズはCanon EF24-70mm F2.8L USMだ。
カメラの設定は、絞り値F7.1、シャッタースピード9秒、ISO感度100。
実はピントがやや合っていない。このカメラはライブビューモードがないので、花火撮影の際に、ファインダー越しにピントを合わさなければならなかった。今よりもピントが合わせにくかっただけでなく、一眼レフデジカメを始めてから2年程でほとんどカメラを触っていなかったので、花火撮影でピントをどう合わせたらいいのか分からない時期でもあった。
当時はこの絵が最高だと自分で思っていたが、現在の目線で見ると、必要以上に明るく撮れている。少し明るすぎて花火のディテールが表現できておらず勿体ない。
そこで幾分か明るさを下げてみることにした。露光量を-1.81下げる。明るすぎた花火にディテールが甦った。
彩度を+43にしてみた。普段のコスプレ撮影なら自然な彩度を使うが、今回は被写体が花火なので、濃くなり過ぎることを気にしなくても済むし、濃くした方がインパクトがある。
リオのカーニバルのような色合いになった。少し濃すぎるかなと思ったので、彩度を+11まで下げてみた。
ホワイトバランスをタングステン-白熱灯にして、温かみを抑えてみるが、やり過ぎ感が出たので、色温度の数値で微調整することにした。色温度を少し下げて3277kに。
ハイライトと白レベルを微調整して、花火を明るくする。
シャドウと黒レベルを微調整して、暗闇を濃くして花火を際立たせる。
彩度を微調整。全体的には花火が明るく濃くなるようにした。
シャープネスを100にして、ピントが緩い花火をピントが合っているように見せる。
編集前の写真と比べてみると、ずいぶん写真の印象が変わった。花火の写真は明るさをはかるのが難しい。バルブ撮影でシャッター幕を開けたままで撮影するので、実際に写真が液晶モニターに出てくるまで明るさがどうなっているのか予想がつけがたいところがある。
ゆえに花火の写真はRAWモードで撮るのがベターな選択となる。明るさだけでなくホワイトバランスや彩度などを変更するので、非可逆圧縮で編集すればする程データが劣化するJPEGモードよりも、可逆圧縮で編集を繰り返してもデータが劣化しないRAWモードで撮る方が、写真をより美しく変貌させることが出来る。
ピントが緩い花火の写真もシャープネスを強くすることでより綺麗な写真となった。RAW現像ソフトはバージョンアップする毎に進化しているので、ノイズ処理やシャープネスの性能が上がったりする。将来的に編集することを考えて、花火写真に限らず、デジタル写真はRAWモードで撮る習慣を身につけたい。