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エントリー機でも綺麗な写真を撮る方法

キヤノンの最新エントリ機Kiss X8i。ズームレンズキット付きで実売価格7万2千円。

キヤノンの最新エントリ機Kiss X8i。ズームレンズキット付きで実売価格7万2千円。

ハードディスクの整理をしていたら、昔撮影に行ったハリーポッターの大型合わせの写真が出てきた。といっても僕が撮った写真ではなく、レイヤーさん達が撮り合いした写真を頂いた物だ。

その中で目を見張る写真があった。こちらを見上げているピンショットなのだが、写りがとても良い。等倍で見てみると、顔全体がシャープに写っており、瞳にピントがピッタリと合っていた。肌の質感の描写も悪くない。

使用カメラはキヤノンのEOS Kiss X6i。レンズはおそらく付属しているキットレンズのEF-S16-35mmF3.5-5.6 ISだろう。

exif情報には、F値4、ISO100、SS1/40秒、焦点距離18mmとあった。その割には歪みも少ない。フルサイズに換算すると、28.8mmなので、レンズ領域としては超広角ではなく、広角に当たる。歪んでいる部分は光学上トリミングされているのだろう。そこそこのパースペクティヴも効くので、人物の全体を上から俯瞰して撮るには、うってつけの焦点距離だ。

ここまで綺麗に撮れるのなら、フルサイズ一眼や大三元ズームも要らないんじゃないかとすら思える。

直近で自分の撮った写真と見比べてみたが、描写もそんなに変わらないような気がしないでもない。

普段はOtus1.4/55や85を装着して、F1.4とかF2.2で撮影している。パソコンの画面に合わせて縮小表示して見る分には、ピントが合っているように見えるし手ブレも分からないのだが、下からのアオリで撮影した写真を1枚ピックアップして等倍で見てみると手ブレしていたり、ピントがきっちりと合っていなかったりする写真もあったりする。

センサーサイズが大きくなればなるほど、手ブレに対してシビアになるという点もあるだろう。

F4の被写界深度と、16mmの焦点距離が、パンフォーカス気味の描写になるので、被写体をシャープに美しく写している要因だろうか。同じ設定で撮らないことには、描写力の比較にはならない。

結局はどのカメラやレンズで撮ろうが、光の当て方を上手く考えられる撮影者、ピントをきっちりと合わせられて、なおかつ手ブレしない写真を撮ることが出来るスキルが、写真の良し悪しを決める。

撮影は常に自画自賛と自己嫌悪の連続である。撮影後、家に帰ってデータを等倍で見て、この点が悪かったから次は気をつけよう、この点は改良ようと、一人反省会の日々だ。

ではエントリー機とフルサイズで撮った写真は、そんなに差がないのだろうか。そんなことはない。ギャラリーを見て「あ、この写真凄く綺麗だな」と、Exif情報を確認した写真はすべてフルサイズ機で撮影されていた。

僕も実際に先述したkiss X6iと同程度の性能のエントリー機とキットレンズで撮って貰ったことが何度かあるが、満足のいく画質が得られなかったので、撮り合いの時は自分のカメラとレンズで撮って貰っている。一度フルサイズで撮って貰うと、APS-C機には戻れない。

キットレンズで綺麗な写真を撮る方法

では既に手元にあるキットレンズで綺麗に撮る方法はないのだろうか。ズームレンズEF-S16-35mm F3.5-5.6の開放F値は焦点距離によって移動する。ワイド端の16mmにセットすればF3.5から設定して撮れるが、ワイド端の35mmにセットすると、開放F値は5.6になる。かなり暗い。

キットレンズはボケにくいと言われる。ボケないことはないが、ボケ方がもう一つといった意見もある。ではいっそのことボケの描写は切り捨てて、カリカリシャープに撮ってみてはどうだろうか。キットレンズは全体をシャープに写したい時に使うレンズ、単焦点レンズは背景をボカしたい時に使うレンズ、という風に用途ごとに使い分ければ良い。キットレンズでボカして撮るのは諦めてしまおうというわけだ。

レンズは通常、開放F値から2段絞ると、レンズの持つ本来の性能を発揮すると言われている。この理論が正しければ、F7.1もしくはF11に絞れば、解像感の優れた写真を撮ることが出来る。

問題もある。APS-C機は、一般的にF9以上に絞ってしまうと、光の回折現象が発生すると言われている。解像感が損なわれて、像がぼやけていくのだ。絞りすぎると本末転倒となる。

パンフォーカスが必要な風景写真の撮影では、回折現象を気にせずにF22まで絞る場合もあるが、人物撮影の場合はそこまで絞る必要はない。かといってF5.6から2段絞るとF11に設定しなければならないので、妥協してF7.1~F8まで絞って撮影してみてはどうだろう。

絞り優先モード、もしくはマニュアルモードで絞りを深く設定して固定すれば、ズームレンズの焦点距離を変えることでF値が変わることもないし、明るさも変わることがないだろう。

写真でボケを得るための4大要素

シャープに撮ることを覚えたら、次はボカして撮ることを覚えよう。一眼レフデジカメの強みは、なんと言ってもボケだ。被写体以外を思いっきりボカして撮ることが出来る。写真はパンフォーカス気味に撮るだけでは、つまらない。表現が画一的になってしまう。

人物撮影において、ボケは正義。背景をぼかすことで被写体を美しく際立たせることが出来る。何か撮った写真つまらないな、と思ったら、背景をボケさせれば良い。それだけで退屈な写真が、目を見張る写真に変貌を遂げる。

方法は4つある。簡単な方法から順に上げてみよう。

  1. 被写体と背景との距離を思い切り取る。
  2. 被写体と撮影者との距離を思い切り縮める。
  3. 焦点距離の長いレンズを使う。ズームレンズで撮る時は、望遠側(テレ端)で撮る。
  4. レンズのF値を開放にする。もしくは明るい単焦点レンズを使う。

この4つのいずれか、もしくはすべてを実践すれば、背景をボケさせることが出来る。一番手っ取り早い方法は、お金はかかるが、明るい単焦点レンズを装着して開放で撮ることだ。

お金はかかると言っても、開放F値1.8の50mm単焦点レンズがキヤノンから実売価格14,000円で出ている。買えない値段ではない。14,000円でF1.8の世界を手に入れることが出来ると思えば安い買い物だ。そしてこの新しく出た単焦点レンズ、評判もすこぶる良い。

一度自分で最新のエントリー機とキットレンズを使って、フルサイズ機+高性能レンズと比較して果たして何処まで綺麗に撮ることが出来るかという実験をやってみたいのだが、無駄な物にお金は一切使わない主義なので、なかなか踏み出せないでいる。