以前フレンドさんが当日スタジオに移動中に、カメラマンにドタキャンされたという話を聞いた。そのキャラに興味がないというのがドタキャンの理由だそうで、その日の撮影はお流れになったという。
撮影当日にカメラマンにドタキャンされたという話は、ここ最近ちょくちょく耳にする。カメラマン側の身勝手な理由ばかりではなく、交通事故や病気などでドタキャンになる場合もあると聞く。
そうなった場合に困るのは、コスプレイヤー側だ。スタジオをキャンセルするにも、商慣習として当日キャンセルの場合はスタジオ代を満額で払わなければならない。Twitterなどでカメラマン募集をかけた所で、当日なので見つかる可能性は極めて低い。
しかしもし、一眼レフデジカメを持っているなら、それも一番安くて軽いエントリー機とキットレンズを持っているなら、自分たちで三脚を使って自撮りすることが可能だ。
ストロボもLEDライトも要らない。スタジオにある照明機材を使って、自分たちだけで綺麗な写真を撮るテクニックを探っていきたい。
では始めに、自撮りで最高の写真を撮るためのフローチャートを見ていこう。
自撮りのフローチャート
1.カメラをマニュアルモードにする。
2.記録方式をRAW+JPEGモードにする。
3.絞り値をF8辺りに設定する。
4.シャッタースピードを1/10秒前後に設定する。
5.レンズの手ブレ防止機能(IS)をOFFにする。
6.撮影する人以外のメンバーにポーズを取らせる。
7.立ち位置が決まったら、スタジオのソフトボックスを両側から斜め45度の角度で宛がう。
8.試し撮りして、データの明るさを確認する。
9.写真が暗い場合は、ISO感度を上げて試し撮りする。
10.ホワイトバランスとピクチャースタイルを設定する。
11.明るさが理想的なら、三脚にカメラを取り付ける。理想とする明るさと異なっていれば、ISO感度の増減で調整→撮影→確認を繰り返す。
12.構図を決めて、一番手前の人物の目にピントを合わせる。
13.タイマー、もしくは純正の小型リモコンを手のひらに忍ばせて、メンバーに加わり、ポーズを取って、3・2・1を合図にシャッターを切る。
14.立ち位置は余り変えずに、ポーズだけを変えて撮り続ける。
簡単に流れを書き連ねてみた。それでは個々に詳しく解説していこう。
カメラをマニュアルモードにすることで、明るさを固定する
マニュアルモードにすることで、スタジオ撮影における写真の明るさを固定することが出来る。オートにするとF値やシャッタースピード、ISO感度が構図を変えたりするとコロコロと変わり、逆に撮影に支障を来す。マニュアルモードで撮った方が楽だ。
絞り値は絞れるだけ絞ろう
絞り値を絞ることで被写界深度が深くなり、全員にピントが合いやすくなる。それだけでなく絞れば写真の解像感が増す。シャープでカリッとした写真が撮れる。
絞りすぎに注意しなければならない。APS-C機の場合はF9以上に絞ると、小絞り暈けという現象が起こり、逆に写真がぼやけてしまう。絞り値の上限は、F8かF9辺りが良いだろう。
シャッタースピードは低速でもOK
三脚を使って撮るので、手ブレしないから、シャッタースピードは低速でも問題ない。
問題は被写体ブレだ。低速シャッタースピードにして、被写体がじっとしていられない場合や、SSが遅すぎる場合は被写体ブレが発生する。
もし1/10秒の低速シャッタースピードで撮影して、被写体がブレるなら、シャッタースピードをもう少し速く設定してみよう。
レンズの手ブレ防止機能はOFFにしよう
三脚でカメラを固定して撮るので、手ブレ防止機能をONにすると、逆効果となり、写真がブレてしまう。手ブレ防止機能はOFFにしておこう。
メンバーにポーズを取らせよう
ソフトボックスの位置を決めたり、構図を決めたり、ピントを合わせるために、他のメンバーに立ち位置を決めて貰ってポーズを取らせる。
写真の明るさはISO感度で調整
カメラの設定はF8とシャッタースピード1/10秒の設定に固定しておきたい。F値を絞れば解像感豊かな写真が撮れるのでこの点は譲れない。
またスタジオにもよるが、スタジオ撮影で定常光のソフトボックスを使って撮るとき、上記のような設定だと、明るすぎるという事はないが、まだまだ写真が暗いという事は起こるかもしれない。
その場合はISO感度を上げて明るさを調整する。ノイズが気になるかもしれないが、カメラ内の処理でノイズリダクションがかかり、返ってツルッとした写真になるので、肌レタッチいらずの写真が撮れることもある。
逆に写真が明るすぎるようなら、シャッタースピードを速くしてみよう。F値を変えるのは最後の手段にとっておきたい。
写真の記録方式はRAW+JPEGモードが最適!
普段撮影されることがメインのコスプレイヤーは、RAWモードやRAW現像という言葉や方法は余りなじみがないかも知れない。そういう方達には、おそらくJPEG撮って出しが最も楽だろう。
記録メディアの容量に余裕があるなら、RAW+JPEGモードで撮影することをお薦めする。RAWデータがあれば、後からホワイトバランス調整などによる肌色調整や明るさ調整、ピクチャースタイルの変更などを画質を劣化させずに何度でも繰り返し調整できるので、綺麗なデータを残そうと思うのならRAW現像が最も理想的な選択だ。
RAW現像を頑張ろうと意気込んでみたものの、上手く行かなかった場合でも、JPEG形式でも写真が保存されているので、すぐにお渡しできる。
JPEG撮って出しが前提となる場合は、現場で理想的な肌色を出すための設定が必要となる。写真の色を決めるのはホワイトバランスだ。ピクチャースタイも写真の色を決める要素の一つだが、特にこだわりがない場合は、無難なスタンダードに設定しておこう。
マニュアルホワイトバランスを設定する
マニュアルホワイトバランスの設定方法はカメラのマニュアルを一読して頂きたい。個々ではキヤノンの方法を簡単に説明しておく。
1.マニュアルホワイトバランスのメニューを実行する。
2.白ホリで撮る場合は白い壁を撮る。もしくは白い紙を用意して、撮る。
3.ホワイトバランスをマニュアルホワイトバランスモードにして、先ほど撮影した写真をサンプルにする。
色温度とホワイトバランス微調整で写真の色を設定する
色温度を直接指定して写真の色を決める方法もある。こちらの方が理想的な色に近づけるかも知れない。
1.カメラのホワイトバランスを色温度に設定する。
2.色温度を5200Kに設定する。
3.試し撮りした後、データを確認し、ホワイトバランス微調整の機能で色味を調整して、試し撮り。
ピクチャースタイルの詳細設定で、シャープネスや彩度を変更することが出来る。シックで落ち着いた色合いの写真が欲しいなら、彩度を下げると良いだろう。
小型リモコンを購入しておこう
自撮りの場合は、タイマーよりも小型リモコンを使った方が撮りやすい。ボタンを押しただけで連続して何枚でも撮れるからだ。ポーズをコロコロ変えて矢継ぎ早に素早く撮ることが出来る。
自撮りの場合は撮るまでの準備に時間がかかるので、時間を節約したり、楽して撮りたいならリモコンは必須だ。
このブログではなるべく純正品を紹介するようにしている。格安のコピー品は故障する可能性が極めて高いからだ。撮影中に壊れてしまうと、撮影が滞ってしまう。電子機材関連はケチらずに純正品を買うようにしよう。(Amazonのマーケットプライス業者から購入したら中国のコピー品が届いたというカスタマーレビューがあるので、販売元の確認はシッカリと!)
ピントは一番前の人物に合わせるようにする
ピントの合う範囲の比率は、前1:後ろ2と言われている。つまりピントを合わせた人よりも前は暈けやすく、後ろは暈けにくい。
3,4人の合わせだと前後するにしても3列が限界だろうから、一番前の人にピントを合わせれば全員にピントが合いやすいと覚えておくと良いだろう。
もちろん前後する距離が大きかったり、4列以上の大人数の集合写真となってくるとと事情は異なってくる。その辺りは全員なるべく詰めて貰うか、ピントを合わせる人物を変更するかして、全員にピントが合うよう、臨機応変に対応しよう。
使用レンズは焦点距離16-55mmのズームレンズが最適!
単焦点レンズでは構図を変える場合に三脚を移動させなければならず、手間がかかる。ズームレンズを使えばカメラに点けっぱなしで、焦点距離を変えられるので、構図も取りやすい。
それでは健闘を祈る。