ピンクのLEDライトの枠組みを活かして撮る際のライティング

念願のバニー撮影!

大阪市港区にある弁天町駅の周辺には、ハコスタジオ系列のコスプレスタジオが複数点在している。弁天町駅と書いたが、ここはJR環状線の弁天町駅と大阪メトロ中央線の弁天町駅が十字に交わっており、駅に降り立って歩みを進めた瞬間、今自分がどこにいるのか分からなくなるスポットでもある。

迷路のようなスポットと言えば、大阪の梅田ンジョンが有名だ。幾つもの大阪駅や梅田駅が星座を構成する星の如く散らばり、それらがドラクエの地下ダンジョンの様に複雑に繫がっている事から何時しか梅ダンジョンと呼ばれることになり、NHKの街を歩き倒す番組『ブラタモリ』でも取り上げられた。

ヨドバシカメラは目と鼻の先にあるのに、阪神梅田駅から行こうとすると実にジグザグに或いは遠回りに地下道を歩まなければならないほどに通路が千々に入り乱れている。大阪メトロ御堂筋線梅田駅の北改札口から出ればすぐに辿り着けるのだが、南改札口からだと、遠回りしないと辿り着けない筆舌に尽くしがたいもどかしさが梅田ンジョンの恐ろしさを物語っている。

そしてここ弁天町は、さして梅田ほどの規模ではないにも関わらず、樹海で方位磁石が狂うように方向感覚が狂い、今自分がどこにいるのか、どのルートを行けば良いのか、Googleマップを見ても分かりづらいほどだ。大阪七不思議の1つに加えたいほどの事象で、時間厳守が求められるカメラマンにとっては生半可な心霊スポットよりも恐ろしいスポットだ。コスプレ撮影を始めた10年前から度々訪れている駅ではあるが、何度来ても道順が覚えられない。

この日も弁天町駅でレイヤーさん達と待ち合わせたが、まず中央線の弁天町駅とJR環状線の弁天町駅とで異なる出口があるから、無事に鉢合わせることはなかった。2人とも違う出口から出たという。

仕方が無いのでGoogleマップでスーパーの「ライフ」を目印にスタジオの方へと向かった。もしGPS機能の無い携帯電話の時代に生きていたら、スタジオに辿り着くまでに大変な思いをしたことだろう。

前の方をカートを引いて歩いている見覚えのある女性二人がいたので、ワザと気づかないふりをして追い越して生粋の関西人のようにボケをかましつつ、スタジオへと向かった。

後日また弁天町のハコスタジオで撮影が2件入っていて、1ヶ月で3度も訪れることになったが、未だに方向感覚が狂うし、迷いがちだ。大規模な幹線道路の交差点で横断歩道で向こう側に渡ろうとしても、片側だけ横断歩道が無い、地下道を通らなければならない。

今回の写真の撮影場所は、ハコスタジオGEN。黒ホリゾントとピンクの部屋が隣り合わせ。このスタジオで今をときめく作品の1つ『NIKKE』のコスプレとオリジナルギャルの撮影をした。

このスタジオの特徴の1つは、LEDライトに囲まれた長方形の枠組みの造形。ドアを彷彿とさせる。今回撮影するコスプレのキャラにちょうど良いスタジオとして他にも候補があったが、そちらの方がどうも場所がやや遠くて手狭で撮りにくいのと、このピンクの枠組みがあったのを理由に、こちらのスタジオに決めた。

ドアと言えば、ヒッチコックの映画では、物語の入口の暗喩でもある。ドアを開けて中に入る役者と共に観客もその物語の中へと引き込まれていくのだ。

今回は物語の始まりとなり得るかどうか。念願のバニー撮影。LEDを利用したライティングに四苦八苦した。撮影過程を振り返っていく。(全文:3,000字)

  • ライティングの配置
  • 写真の印象が違って見えるきっかけ
  • LEDの枠組みを活かして撮ることは可能か
  • 最終的なライティング
  • カメラの設定
  • F値の違いは写真に出るか

今回の撮影で使用したレンズ