最近デジタルカメラの高画素化が進んでいる。デジタルカメラが世に出た頃は、まだ数百画素くらいしかなかった。黎明期には高画素化が大きく望まれたものだが、1000万画素を超えた辺りから、もう画素数は充分という声も聞かれるようになった。
一つには、デジタルカメラの描写力を決めるのは高画素だけではないということ。むしろセンサーサイズの大きさの方が重要視される点だ。いくら高画素でもセンサーサイズが小さければ、画素サイズが小さくなり、高感度撮影においてノイズが出やすいという点が上げられる。
いくらスマホに搭載されているカメラや、コンパクトデジカメ、APS-C機が高画素数を誇る数値を訴求力としてパンフレットに記載していても、それらのカメラよりもセンサーサイズが一回りも二回りも大きいフルサイズ機や中判カメラには描写性能では敵わない。むしろ画素数が少ない方が画素サイズが大きくなり、綺麗に写せるというわけだ。
どういうわけか、スマホやコンデジ、エントリーAPS-C機は高画素であることを前面に押し出す傾向が強いように思われる。画素数は高ければ高い程、綺麗に写ると一般ユーザーは思いがちだ。
大きいいものは正義、高ければ高い程よいという世間一般の論理に適った単純さを、訴求力としているのだろうか。カメラについて詳しくないユーザーにとって、解りやすいと言えば解りやすい。実際には先述したとおり、半分は正解だが、半分は真逆なのだ。
しかし昨年キヤノンから発売された高画素フルサイズ機5DsRの誇る5,060万画素は、正真正銘の訴求力と言ってもいい。その理由は、解像限界という概念が新たに持ち上がってきた点だ。つまり精細な被写体を撮ろうとすると、画素数がある一定以上でないときちんと解像されないという真実を解像限界という概念は突きつけている。大自然やビルなどの風景写真を撮る際には重要視したい点だ。
高画素機の写真から得られる立体感、臨場感は、Canonの5DsRで撮影した写真からも体感した。今後は一億万画素のデジカメが当たり前となる時代が来るかも知れない。それとも中判デジタルカメラが一般的になるのだろうか。高画素の写真に対応したハイスペックパソコンの開発も急がれるところだろう。