カメラの購入相談の際によく言われているのが、「カメラを買い替えるならレンズを買った方が良い」というフレーズだ。今所有しているカメラの画質に不満を抱いていて買い替えようかと検討しているときに、このようなフレーズで返答されることが多い。果たしてこれはどこまで真実なのか。今回はこのフレーズを掘り下げてみたい。
今年キヤノンからフラッグシップ機1DX Mark2とフルサイズ機5Dmark4が立て続けに発売された。各機種とも4年ぶりの更新で、一眼レフユーザーからは待望の的となっていた。性能については、当ブログでも比較記事を掲載しているので参考にして頂きたい。
1世代程度の進化では、飛躍的な画質向上は見込めない
さて、僕自身は1DXを所有しているが、買い替えたいと思ったかというと、もし今使っているカメラが故障したなら買い換えも検討するが、今すぐに率先して買い替えたいとは思わないというスタンスだ。一つには70万円近くする高額商品だし、今の1DXでも充分性能が高く、申し分ない画質をはき出してくれているからだ。
確かにISO感度の耐性は向上したと言われているし、GPS機能や4K動画など様々な新機能が搭載されてはいるが、4年程の歳月で画質面においての進歩はいか程だろうか、という疑念がぬぐい去れない。
もし70万円近くするカメラを買うなら、そのお金で今欲しくてたまらないサンニッパの望遠レンズを買いたいのが正直なところだ。新しいレンズを買うことで、今までとは違う写真が撮れる。例えば飛行機写真は200mmの望遠でも足りないと思っていたので、300mmの望遠レンズがあれば、今よりももっと迫力のある写真が撮れる事が期待できる。野外での人物撮影においても真価を発揮するだろう。
キヤノンのカメラの心臓部でもある映像エンジンDIGICも1世代以上は進化しているはずだが、ダイナミックレンジ、ISO感度耐性、レスポンス性能を考慮に入れた場合、果たして前機種との違いはそんなに大きいのだろうか。もしそんなに違わないのならば今所有している機種で充分という思いがある。
数世代の進化では買い替えた方がベスト!
しかしこれが6~10年前のカメラとなると話は異なってくる。DIGICエンジンも数世代分の進化があるので、画質は飛躍的に向上している。昔デジカメは1000万画素あれば充分という意見があったが、果たして、初代5Dから1DXに買い替えた時、その画質の良さに驚いたし、ISO感度の耐性の高さも素晴らしいものだった。
おそらく新しいレンズを購入してみたところで、画質の向上は期待できなかっただろう。レンズだけでは限界があることも知らなければならない。
これはフルサイズ機だけに限った話ではない。APS-C機についても同様だ。先日レイヤーさんと撮影の帰り道に話を聞いたのだが、キヤノンの数年前の一眼レフデジカメKissシリーズから最新の8000Dに買い替えた時に、画質が飛躍的に良くなったと聞いた。やはり何世代も前のデジカメから最新のデジカメに買い替えるだけで、画質の面で効果があるようだ。映像エンジンの進化の賜だろう。