APS-C機のメリットを考えてみよう

エントリー機にもかかわらず初心者向けを超えた優れた性能を発揮する一眼レフデジタルカメラ Canon EOS 8000D。
エントリー機にもかかわらず初心者向けを超えた優れた性能を発揮する一眼レフデジタルカメラ Canon EOS 8000D。

一眼レフデジカメの主要な機種は、フルサイズ機とAPS-C機の2つだ。この二種は何かと論争の対象になることが多い。プロの現場ではフルサイズは使われていないとか、ネットに上げるサイズなら違いが分からないからAPS-C機で充分という意見もあるが、どれも結論を下すには強引すぎ、嫉妬や思惑などの私情が入り交じったような不公平な意見も散見される。

そこで今回はヘビーなフルサイズ機ユーザーの立場から、APS-C機のメリットについて考えてみようと思う。フルサイズユーザーから見てAPS-C機はこんな点が良さげだという意見を率直に述べていく。

軽い

フルサイズは重いとよく言われているが、実は男の筆者からすると、そんなに重くはない。といってもいつも筆者は撮影の折には、フラッグシップ機の1DXと、キヤノンのLレンズやツァイスOtusなどのレンズ4、5本、ストロボやソフトボックス、ライトスタンドなどのライティング機材を持ち歩いているので、ゆうに20㎏を超える。これは旧日本軍の兵隊が担いでいた荷物と同じくらいの重量だそうだ。

当然これだけ担ぐと背中にズッシリと来て重いのだけれど、フラッグシップ機とレンズ2、3本だけに絞るとそんなに重くは感じない。

ではなぜAPS-C機が軽いのがメリットかと言うと、スナップ写真や旅行に出かける際には、軽いに越したことはないからだ。スタジオやイベントでの撮影とは異なり、スナップ写真や旅行写真は、あちこちを歩き回ることになる。そうなると出来るだけ荷物は軽い方が良いのだ。

歩き回ると結構な体力を消耗する。荷物が重いと体力の消耗も激しくなり、旅を気軽に楽しめない。だから荷物の軽さは正義となる。

コンパクトでカバンにスッポリと収まる

ポートレート撮影やコスプレ撮影と異なり、散歩や旅行の場合は、見知らぬ土地の風情を楽しんだり美味しい料理に舌鼓を打つのが第一義であり、写真撮影は二の次となる。ゆえに荷物は出来るだけコンパクトにまとまった方が良い。こういう場合にAPS-C機は小さいので、嵩張らない。

APS-C機専用のレンズも同じく小さいので荷物にならない。

安い

これがAPS-C機を選択する一番の訴求点だろう。コストパフォーマンスに優れている。本格的に写真を始めるならいきなりフルサイズからでも構わないと思うが、ライトに始めたいなら、APS-C機が良い選択となる。

なぜならフルサイズを買っても使わなければ宝の持ち腐れとなるからだ。APS-C機なら仮に使用頻度が少なくても、安いので家計の負担にならないし、そんなに後悔はしないだろう。

またAPS-C機専用のレンズも安いのが魅力だ。後々フルサイズに乗り換えたら、それらのレンズは使えなくはなるが、安いので大した痛手にはならない。

ちなみに、ウェブに上げるサイズなら、フルサイズもAPS-C機も画質の違いは判別がつかないと言うが、パソコンがこれだけ普及している時代に、大画面で写真を見ないのは、デジタル技術の進化の恩恵を享受しているとは言いがたい。パソコンの大画面で等倍鑑賞する尾tAPS-C機とフルサイズ機の違いが明確に出てしまう。

また最近は撮影した写真を簡単にテレビに映し出すことが出来る新製品も発売されている。今後4K・8Kテレビが普及していくことを考えると、ウェブ鑑賞のみを基準にしてカメラ選びをするのはナンセンスだ。

APS-C機のメリットは、安い、軽い、コンパクト。この3点であろう。ひとつ注意点を挙げるなら、高感度撮影におけるノイズはフルサイズ機よりも多い。この点を気にしないのならば、APS-C機は選択肢としてベストとなる。特に入門機であるエントリー機は一眼レフデジカメ初心者用に至れり尽くせりの機能があるので、旅行に持って行くのには最適だ。