せっかく高いレンズを買ったのに、何だかイマイチ写りが悪いなぁと感じたことはないだろうか。考えられる原因は、開放で撮る事で起こる様々な現象だ。
通常レンズは開放で撮るとレンズのありとあらゆる欠点が露呈してしまう。軸上色収差だったり、パープルフリンジだったり、周辺光量落ちだったり、シャープネスや解像力に欠けていたりと、なんとなくボンヤリとした描写になってしまう。
更に開放で撮るということは、薄氷の様な薄さでピントを合わせなければならないということだ。ちょっと気を緩めていたりすると、簡単にピンボケしてしまう。被写体と向かい合って、脇を締めてカメラをシッカリと構え、体が前後に揺れないような体勢で撮影しなければならない。
コサイン誤差も考慮に入れる必要がある。一度被写体にピントを合わせてから構図を変えるためにレンズを上下左右に振ると、その分誤差が生じ、ピントがズレてしまう。開放F1.2とかF1.4のようなF値なら、コサイン誤差にも注意しなければならない。
ピンボケしてしまった写真は解像感に大きく欠け、綺麗な写真とは言えない。いくら高級なレンズを使っていても、レンズの性能を引き出せていないのなら勿体ない。
そのレンズの解像力がピークとなるF値や、小絞りボケの影響を知ることが出来る本
レンズには解像力のピークというものがあるらしい。解像力はカメラのF値を変えることで調整できる。このF値で設定したら、そのレンズの解像力が最も引き出せるというわけだ。
キヤノンのレンズの解像力のピークを知ることが出来る書籍が販売されている。もしあなたがキヤノンユーザーなら、この本を一読すれば、所有しているレンズの解像力のピークとなるF値を知ることが出来るだろう。Kindleなどの電子書籍版で購入して、現場でスマホ片手に辞書のように引いてみるのも良いかもしれない。Kindleアプリをインストールすれば、Kindleの端末を所有していなくても読める。
他にも光の回折現象による小絞りボケが写真に影響を与え始めるF値も各レンズ毎に記載されている。風景写真を撮るカメラマンに撮っては、貴重な情報となる。
新しいレンズ、特に単焦点を購入して家の中で試し撮りすると、やはり部屋の中は暗いので、明るい開放F値で撮りがちである。カメラの設定をプログラムオートにしていれば、尚更F値は小さめに、つまり明るい設定で撮ろうとするだろう。
一度絞り値を絞って撮ることを覚えれば、そのレンズの持つ解像力が引き出してくれる写真の大きな可能性を知ることが出来て、撮るのが愉しくなる。もし開放付近でばかり撮影していて画質に疑問を抱いているなら、この本を読んで解像度のピークがある事を知れば、写真撮影の良き相棒となる事だろう。