RAWモードで写真を撮ることを躊躇うカメラマンは、2つ損をしている。1つは後からパソコンを使って写真を最大限に綺麗に出来る点、もう一つは大昔に撮った写真を甦らせて遡及的な愉しみを味わえる点。
目先の利益だけを考えていてはいけない。確かにJPEGモードで撮ればRAW現像の手間を省いてすぐにデータをモデルにお渡し出来る。また容量も取らないためたくさんの枚数を撮影することが出来るし、記録メディアにお金を費やす必要もなくなる。
しかし写真は財産である。デジタル写真は劣化もしなければ保管費用もほとんどかからない半永久的な財産だ。技術が進化すれば今よりも低価格のパソコンでRAW現像を素早く出来るだろうし、RAW現像ソフトが進化すれば、今よりももっと綺麗な写真に仕上げることが出来る可能性もある。故にRAWモードで撮ることをお薦めする。
筆者は初代5D時代からほとんどの写真をRAWモードで撮っていたので、昔の写真を現像する愉しみを味わうことが出来る。当時はPhotoshopのRAW現像モードしか知らなかったし、現像スキルもなかったので上手く出来なかったが、今なら自分が理想とする写真に仕上げることが出来る。
既に過去の記事で何度も言及した覚えがあるが、ここで再度RAWモードで撮るメリットを見ていこう。
ホワイトバランスやホワイトバランス微調整が出来る
カメラに白を白と認識させる為のホワイトバランスの設定は、現場ではなかなか難しいものだ。常に理想のホワイトバランスとは限らないし、理想的な肌の色になるとも限らない。RAWモードで撮れば、パソコンの前に座ってじっくりと理想の色を追求することが出来る。現場でカメラの設定をいじっている時と全く同じ設定をいじることが可能だ。
これら2つの項目は,人物写真の肌の色を撮影者の理想とする色にしたい場合にとても効果的だ。JPEG形式のファイルでは肌の色の調整がかなり難しくなるが、RAWデータなら自分の追い求めている肌の色に簡単にできてしまう。この点だけをとっても、RAWモードで撮影するメリットは絶大だ。
ピクチャースタイルを変えることが出来る
ピクチャースタイルは撮影シーンによって写真に重要な影響を与える。最適なピクチャースタイルを選ぶことは、理想的な写真の色を簡単に導き出す上でも非常に好都合な機能だ。
現場でピクチャースタイルの選択に失敗してしまっても、RAWモードで撮れば、好きなピクチャースタイルを自由に選ぶことが出来る。
また、キャノンのサイトから様々なピクチャースタイルがダウンロード出来るので試してみるのも良いだろう。
純正RAW現像ソフトならレンズの様々な収差を解消出来る
キヤノンの純正RAW現像ソフトDPPを使うと、キヤノン製レンズの収差をチェックを入れるだけで自動的に解消してくれる。
何度編集を繰り返しても画像が劣化しない
非可逆圧縮方式のJPEGと違い、可逆圧縮方式なので、複数のパラメータを調整しても上塗りされずに画質が劣化しないのがRAW現像の主要なメリットだ。ホワイトバランス調整も明るさ調整もピクチャースタイルも、どのパラメータを次から次へといじっても、写真が綺麗に保たれる。
この記事では敢えてRAWデータで撮影することのメリットしか書かない。デメリットに目を向けたところで尻込みさせるだけだろう。是非RAWデータで撮ることを始めて、その恩恵と写真の可能性を最大限に引き出して頂きたい。