オートホワイトバランスで撮影した写真の色温度を変えなくても良い時

早朝の光の色は、オートホワイトバランスを信じても良いのか。
早朝の光の色は、オートホワイトバランスを信じても良いのか。

撮影はいつもRAWモードで行っている。RAWで撮っておけば、後から写真の色を変えたい時に、自然な色合いで変更することが出来る。

RAWで撮ることのメリットは、色温度を無理なく変えられることだ。キヤノンの純正RAW現像ソフトDPPを使えば、現場で撮影している時と同じ感覚でいじることが出来る。ホワイトバランスは人物写真の場合には、肌の色を決定づける大切な要素となる。

ホワイトバランスオートの設定で撮ると、色温度はカメラが自動的に判断して設定してくれる。最近のカメラのオートホワイトバランス機能は優秀なので、だいたいは問題ない色で撮れるが、曇っていたり、緑の多い場所だと、肌が冷たい色で写ったりする事があるので、PCの後処理でホワイトバランスを微調整する必要性が出てくる。

またスタジオでアンブレラやソフトボックスを使った撮影では、肌の色を整える必要性が出てくる。しかし撮影時間が限られる現場でそれをやっていると時間が勿体ないし、何より液晶画面では正確な色判断がつきにくい。また現場でホワイトバランスを調整したとしても、家に帰ってPCの画面で見てみるとまだまだ納得のいかない色だったりする。写真へのこだわりが強ければ強いカメラマンほど、RAWモードで撮っている。

しかしホワイトバランスを変えたくない時もある。こないだ早朝にコスプレ撮影に赴いたのだが、朝の透明感溢れる光がとても美しく、この日はホワイトバランスをいじらずにデータをお渡しした。レイヤーさん本人も、朝の光の感じが良いといっていたこともある。

秋の日の朝8時の日射しが射し込む。
秋の日の朝8時の日射しが射し込む。

いつもなら自然で理想的な肌色になるようにホワイトバランス微調整で整えるのだが、その日のデータは全くそういうことがなかった。

他にも夕暮れ時に撮ったオレンジ色の人物写真は、ホワイトバランスを調整しないことが多い。透明感溢れる夕陽の色に出来ないこともないが、何だが邪道な様な気もする。もちろんそういう色合いが好ましい場合は、大胆にホワイトバランスを変えてみたりするのだけれど。

というわけで今回はホワイトバランスを一切変えずに、カメラのオートホワイトバランスが紡ぎ出した色のままの写真をお渡しした。もしカメラが本当に優秀なら、人の目で見たままの理想的な色になっていることだろう。

朝の柔らかい光を浴びながら。
朝の柔らかい光を浴びながら。

写真の本来の色、なんていうのは人の数だけ存在するのだろうから、どれが正しいなんて事は言えないのだけれど、とりあえず初めての朝の優しい光に包まれた撮影、カメラの力を信じてみたいと思ったのだ。