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コスプレ写真の取り扱いでカメラマンとコスプレイヤーが揉めたらどうすれば良いの?著作権と肖像権の問題

写真の著作権は、データが生成された時点で自動的に発生する。

写真の著作権は、データが生成された時点で自動的に発生する。

以前撮影が終わってから、写真データのインターネット上での取り扱いについてコスプレイヤーさんに聞いてみたら、「自由に使って頂いても良いですよ、著作権は放棄してますから。フリー素材なので(笑)」という半ば冗談めいた返事を頂いた。

正確に言うと、被写体側であるレイヤーが保有しているのは著作権はなく、有るとすれば肖像権なのだけれど、何だかいちいち説明するのも野暮ったいし、撮った写真は自由に使っても良いと快諾を得たことに変わりはないので、そのままにしておいた。

被写体側であるコスプレイヤーには写真の著作権はなく、肖像権は主張できる。更に言えば、肖像権は放棄できる性質のものではない。だからフリー素材と言い切ってしまうのも語弊がある。

まとめると、

写真の著作権はカメラマンが保有。肖像権はコスプレイヤーが主張可。

カメラマンとコスプレイヤー、写真の取り扱いに関する双方の主張は?

コスプレ活動はコスプレイヤー・カメラマン双方共に趣味の範囲内でやっている人が大半なので、写真の著作権や肖像権に関して取り沙汰されることはあまりない。

しかしひとたび何らかのトラブルをきっかけに論争が起こると、著作権と肖像権、この二つの問題が浮上してくる。本人達が権利を自覚していなくとも、実質的にはこの二つの権利を巡る争いとなる。

先日もTwitterで、二つの点が論争になっているのが、TLに流れてきた。

  • カメラマンは私が写っている写真を無加工で上げるな!(レイヤー側の意見・肖像権の提起)
  • コスプレイヤーは勝手に俺が撮った写真を加工するな!ウェブで発表させろ!(カメラマン側の意見・著作権と著作者人格権における同一性保持権の提起)

要約すると上のような感じだ。この二つの意見は全く関連のないところで別個にヒートアップしていた記憶がある。

ここでいう無加工とは、肌を綺麗にする加工や、歪みツールによる容姿の修正を施さない事を意味する。コスプレ写真に余り馴染みのない方は、なぜこれらの処理が必要なのか疑問に思われるかも知れない。

コスプレイヤーが写真加工にこだわる理由

なぜ肌加工や歪みツールで加工しなければならないのか。最近のコスプレ写真は、自分がコスプレしているキャラクターに如何に似せるかに主眼が置かれているからだ。自分の大好きなアニメや漫画やゲームのキャラクターのコスプレしようと思ったら、愛着のあるキャラクターに限りなく似せたいという変身願望は自然の摂理だ。

作品のキャラに極力似せたいという願望を抱いているのはコスプレイヤーだけではない。コスプレ写真を鑑賞する側にも、作品のキャラクターに極力似ている写真を求める傾向が強くなってきている。

コスプレイヤー本人がその作品愛からキャラに極力似せた写真にしたいという内なる欲求の他に、歪みツールで容姿を加工しないと「キャラに似てない!作品貶すな!」と同業レイヤーや作品のファンから非難され、コスプレカメラマンからは「中身のない薄っぺらい写真」とイチャモンをつけられるのが現状だ。

ジョジョファンの某アイドルがウィッグを被らずカラコンをせず、コスプレメイクも施さない、いわゆる衣装を着ただけのジョジョのコスプレをした宅コス写真をアップしたら非難囂々となったが、その後メイクもウィッグもカラコンもキッチリとした写真を上げ直したら、大絶賛を浴びた。

着ただけの宅コスに関しては、「芸能人が人気集めの為に軽い気持ちでコスプレするな!」という一般の作品ファンからの厳しい視線も含まれていたかも知れないが、結果はこの通り。いわゆる完コスをすると、作品をリスペクトしていると周囲も受け取るから、一般人であろうが芸能人であろうが大絶賛される。

昨今のコスプレの世界はこのような現状にあるので、皆写真をTwitterやコスプレイヤーズアーカイブなどのインターネットに上げる時には、肌加工や歪みツールによる加工を施すというわけだ。

かつては同じ作品をコスプレして語り合う交流目的の着ただけレイヤーもたくさんいたらしい。東京のレイヤーさんと話す機会があったが、東京はまだ着ただけレイヤーも多いという。関西は少ない。

プロフェッショナルを彷彿とさせるいわゆる完コスが可能となったのは、メイク技術の積み重ねの他に、安価なウィッグや様々な色のカラコンなど、コスプレに特化した商品がここ数年で充実してきたことが原因だ。それに伴いコスプレスタジオも乱立、カメラマンの所有するカメラやレンズ、ライティング機材も高度化してきた。

キャラに完璧に近づきたいという自らの内なる欲求、他者からの承認欲求と監視の目、コスプレ製品の充実、写真のクオリティの向上、これらの要因が折り重なって、より完璧なコスプレ写真を目指す傾向が強くなっているのが現状だ。

カメラマンの著作権とコスプレイヤーの肖像権

話題を権利関係の揉め事に戻そう。

「カメラマンは私が写っている無加工の写真をウェブに勝手に上げるな!」は、コスプレイヤー側の肖像権の主張だ。写真の被写体は、同意なしにウェブや紙媒体の雑誌などにみだりに写真を掲載されない権利を主張できる。

一方で、「写真を勝手に加工するな!あと撮った写真はネットで自由に発表させろ!」は、カメラマン側の著作権と著作者人格権の主張だ。カメラマンは撮影した写真の著作権を有するので、排他的に写真を利用できる。

双方の主張がぶつかり合っているわけだが、そもそも双方が信頼関係を築けていれば、金銭的な利益の発生しない趣味の範囲内で、このような権利問題やいがみ合いは生じなかっただろう。

普段の日常生活での肖像権や著作権

肖像権に関しては、コスプレ写真だけに限らない。例えば普段の生活で他人の姿をスマホで勝手に撮って、勝手にTwitterなどに上げるのは、肖像権の侵害行為となり得る。何人も他人にみだりにプライバシーを犯されない、プライバシー権があるからだ。誰だって勝手に写真を撮られて勝手にインターネットに上げられて不特定多数の人に見られたくはない。誹謗中傷の的になりかねないからだし、街を歩いていたら「アイツだ」と後ろ指を指される恐れもある。

このような事態が生じた場合、相手の出方によっては民事訴訟に発展して損害賠償を払わなければならない。以前ファッション関連のブログで街ゆく人のファッションスナップショットを被写体本人に了解を取らずに掲載したところ、ネットで話題となり、誹謗中傷を受けた被写体である一般人の女性が、編集者側を民事訴訟で訴えた事例もある。

著作権に関しては、著作権保有者に引用の範疇を超えて無断で写真を転載したり、契約を交わさずに商用利用したりすれば、相手側の出方によっては、使用料もしくは民事訴訟による賠償金を支払わなければならないだろう。民事訴訟だけではない。著作権は親告罪なので、相手の出方によっては刑法にも接触する事になるので、注意が必要だ。最近はまとめサイトに代表されるキュレーションメディアによる著作権侵害行為が取り沙汰されている。

http://etoile-studio.com/books/asahicamera-february-2017/

なお、著作権は当事者が主張しなくても、撮影した写真や執筆した文章、作曲した音楽などに自動的に発生する。よく「copyright©某」のような著作権表記がない写真は著作権を放棄していると無断使用者から都合良く捉えられがちだが、それは著作権に関する無知による誤りで、あくまで主張目的もしくは第三者が無断使用しづらいように対策として表記しているだけのことで、コピーライトの表記がないからといって、著作権を放棄しているわけではない点に注意しておこう。中には個人ブログの写真をコピーライトの表記を切り取ってまでしてビジネスに利用した、とんでもない一流デザイナーもいた。そのデザイナーの顛末は、皆さんご存じの通りだ。

コスプレイヤー・カメラマン双方が写真の権利関係で揉めない為に出来ること

カメラマン側から出来ることは、撮影が終わった後に、写真をTwitterやブログに載せて良いか、こういう趣旨のブログをやっているのだけれど、と相手に伝えて承諾を得る。

承諾を得る際には、肌加工や歪みツール加工の有無も聞いておく。99%のコスプレイヤーさんからは、コレで快諾を得ている。中には個人的な事情で写真掲載は不可という人もいるが、それはそれで仕方がないから写真掲載は諦めるというスタンスだ。

このような形で事前に聞いておけば、権利絡みのトラブルは回避できる。

中には無加工の写真はネットに上げて欲しくないというコスプレイヤーもいることだろう。そういう場合はカメラマン側が肌加工や歪みツールのスキルを習得するか、もしくはレイヤーがTwitterやその他のSNSに上げた加工写真をそのままカメラマンのTwitterアカウントやブログなどに使用する許諾を、事前にコスプレイヤーから得ると良い。

ここまで提案してまで写真利用を断られるのは、明らかに煙たがられていたり、あなたのことが生理的に無理という理由だったり、信頼されていない証なので、カメラマン側としては、次からの依頼は断った方が良い。

トラブルに発展しない為の抜本的な対策としては、コスプレイヤー・カメラマン双方が信頼関係を築くという他にない。人をいいように利用することしか考えていないコスプレイヤーやカメラマンからの依頼は事前に断る勇気を持ったり、関係を切っていくことも重要となるだろう。結局の所、そういう人とつきあっていると、双方共に不満が増大していつかトラブルになるから長くは続かない。仲の良い関係を築けている人たちだけで趣味を楽しむのが、トラブルに発展しない為の唯一の防御策だ。

ちなみに僕は、過去に揉めて縁を切った人でも、被写体本人が使用者であれば、写真集なりなんなり勝手に使ってくれ、報告も不要、というスタンスだ。写真一枚一枚にも労苦と費用がかかっているので、使われることなくハードディスクにお蔵入りになるのは勿体ないという思いもある。