アサヒカメラがまとめサイトに対する損害賠償&削除要請マニュアル特集!

アサヒカメラ 2017年2月号
キュレーションメディアの権利侵害が取り沙汰される中、アサヒカメラが最新号で損害賠償請求&削除依頼マニュアルを掲載している。

皆さんはキュレーションメディアという言葉をご存じだろうか。イメージ的に分かりやすい言葉に置き換えると、まとめサイトのことだ。

一つのテーマに絞って、インターネット上に溢れている記事の引用を集めて、一つの記事にまとめたものといえば分かりやすいだろう。

このキュレーションメディアが、昨年の年末、ネットニュースの俎上にのぼった。まとめサイトに掲載されていた健康に関する専門的な記事に誤りがあると、本職の医師に指摘を受けたのが発端だった。

その後、キュレーションメディアの問題点が次々と浮き彫りになっていった。キュレーションメディアの運営者が、実際にまとめ記事を執筆するライターやキュレーターに、他のサイトや著書からのリライトを推奨したり、肝心の記事に他者が著作権を有する記事からの無断引用が含まれていたりといったモラルや著作権絡みの問題だ。それらの事実が明るみに出たことで、幾つかのキュレーションメディアは閉鎖に追い込まれた。

キュレーションメディアに写真を無断転載されたプロカメラマンの対応策が話題に

まとめサイトを見ると写真がたくさん使われているのを良く目にするが、或るプロカメラマンの方が、旅行先で撮影した写真を、キュレーションメディアに無断引用された事の顛末をブログで報告している。

キュレーションメディアに写真をパクられたら請求書を送ることにした(旅するフォトグラファー 有賀正博)

海外で撮影した写真は、飛行機等の交通費や宿泊費などの旅費の他に、お金には換算できない時間や足などの労力がかかっている。それらをすっ飛ばして、自分の報酬目的で他人の撮った写真を勝手に使ったのだから、怒って当然だろう。

まとめサイトで主に問題になっているのは、引用の解釈だ。引用元のリンクを貼っているからといって、いたずらに引用して良いわけではなく、引用には必然性がなければならず、コンテンツが主で、引用が従の関係でなければならない。

ところが今巷で問題となっているまとめサイトのコンテンツは、引用と引用元リンクばかりが目立ち、一つのテーマに絞ったコンテンツが複数の引用元で成り立っているサイトである点だ。

著作権とまとめサイト&キュレーションメディアの問題

著作権はその成果物を著作権者が排他的に使用できる権利のことで、例えば小説やイラスト、写真などの創作物には自動的に著作権が発生する。著作権が法律で保護されていることで、成果物をから得られる利益を排他的に独占することが出来る。

著作権は親告罪なので、著作権保有者が訴えないと、著作権で保護されている成果物を他人が勝手に使ったとしても罪には問われない。この法の抜け穴を悪用して、インターネットに溢れている文章や写真、イラストなどを著作権者の許諾なしに勝手に使用、または常識的に考えられうる引用の範疇を超えて、アフィリエイト目的のブログやまとめサイトなどに勝手に掲載し、アフィリエイト収入を得ている個人や法人、またこれらの引用の範疇を超えた手法をビジネスモデルにして広告収入を得ている企業が跋扈しているのが、今回取り沙汰されているキュレーションメディアを端緒とした、まとめサイト問題の抱える悪しき現状だ。

うちのブログの写真もNAVERまとめサイトに無断転載されていた件

キュレーションメディアと言えば、グーグル検索で何か調べ事をした時に、NAVERまとめサイトが検索に良く引っかかる。上手くまとめられている記事もあるが、よく見ると他のサイトから引用した写真や文章ばかりで、キャプションとリード文だけがオリジナルといった事例が散見される。

最近痛感するのは、わざわざまとめサイトにアクセスして細かくぶつ切りに引用されたページを読むくらいなら、キッチリと書かれた元記事を読んだ方が情報をより吸収しやすいという事だ。

検索をかけると、まとめサイトが上位表示されるので、自然とまとめサイトのリンクをクリックしてパッチワーク的な質の悪いコンテンツに辟易としてしまうのだが、これなら始めからオリジナル記事に飛んだ方が手間がかからない。ネットで情報を得る為に二度手間を強いられている。

まとめサイトの記事の質が低いのは、報酬に釣られてまとめ記事を書いている連中がいるからだろう。その手の連中がまとめた記事は、内容が薄い。

そもそもキュレーターの語源は、美術館の催しで、展示する美術品を選定して集める専門家のことをいう。当然キュレーターには対象となるアートに関する高度な専門知識が要求されるわけだが、まとめサイトのキュレーターはまとめ記事のテーマの専門家ではない、ずぶの素人が報酬目的でまとめているというのが実際の所だろう。だから冒頭にもあるような、健康に関わる内容にもかかわらず誤りのある記事が量産されるわけだ。

NAVERまとめサイトといえば、僕がブログに掲載してる写真も勝手に使用されていた。本来意図していた使い方とは全く異なる話題で引用されていたので、カメラマンとモデル双方にとって迷惑極まりない。それに僕のブログは、コンテンツの無断転載を一切禁止している。きちんとフッターに記載していても、この手の輩が後を絶たない。削除依頼出すにも、色々評判を聞くと手続きがかなり面倒と聞いているので、ホント何とかならないものかと対策に苦慮している。引用元リンクとしてリンクを貼っていれば、写真を盗んでも免責されると思ったら大間違いである。

アサヒカメラがキュレーションメディアの著作権侵害対策マニュアルを掲載!

事ここに至り、写真雑誌のアサヒカメラが、2017年2月の最新号で、著作権侵害対策マニュアルという記事を掲載してネット上に大反響を巻き起こした。キュレーションメディアの権利侵害が取り沙汰されている中なので、非常にタイムリーな記事と言えるだろう。ヤフーニュースのトップにも掲載された。

キュレーションメディアの対応やまとめサイト運営責任者のインタビュー記事等を読んでいると、コンプライアンスを遵守しなければならない上場企業であるにもかかわらず、著作権に対する認識が甘い連中であることが散見される。

まとめサイト問題を考える上で役に立つブログ記事

ネットでの著作権侵害対策は、ウェブでも良く報告されている。まとめサイトの問題に関しては、以下の記事も秀逸なので参考にすると良いだろう。

コピペサイト管理人に電話して「パクリでお金儲けするのってどんな気持ちですか?」と質問してみた(エストニア共和国より愛をこめて)

まとめサイト「ギャザリー」に画像を無断引用されて削除依頼したけど仕組みにも問題がある(パソ活ラボ)

キュレーションメディアの何が問題なのか? | パクリとまとめの境界線は?(望月いちろうのREADME.md)