日経平均2万円台回復に思う

日経平均株価がおよそ一年半ぶりに2万円の大台を回復した。ようやくといった感じだ。前回十数年ぶりに2万円台を回復した時は、証券会社でもくす玉が割られたりとお祭りムードだったが、その浮かれた光景をよそに、90年代のバブル、2000年前後のITバブルとその後の暴落、2008年のリーマンショック等、長年酸いも甘いも通ってきた経験豊かな投資家にとっては、2万円は1つの到達点であり、2万円という頂上を越えたら後は下り坂なのではないだろうかという懸念がよぎったのではないだろうか。その懸念通りに日経平均株価はその後大きく下げた。15000円まで下げ、ようやく反転して上昇気流に乗った。

今回の2万円台回復は、為替が1ドル110円近辺という、前回の2万円台と比べると(記憶が正しければ1ドル120円前後)、為替が円高傾向にある最中での回復だった。つまり為替に頼らない上昇に日本株の底堅い業績、力強さを感じる。

またしても証券会社のホームページにはくす玉の絵と共に祝の文字が躍ったが、やはり余り浮かれられない。また15000円台まで下がるのではないかという懸念が常に頭の中にある。2万円台を固めて数十年ぶりに念願の25000円台を奪還して欲しいところだが、果たしてそこまでのエネルギーが日本株にあるかどうか。

日本人は投資よりも貯蓄が好きな民族だ。貯蓄の教育は子供の頃から親に何度も言われて行き届いているが、投資の教育はなされていない。むしろ株式投資は怪しくて汚らわしいと考えている人の方が多いかもしれない。

個人プレイヤーがもっと増えれば日本株ももっと大きく上がるだろうが、絶対に元本が減らない貯蓄信奉者が、これから個人投資家として百戦錬磨のプレイヤーがうようよいる広い未知の大平原に乗りだそうとする時に、リスク(と精神的ストレス)が大きい割には譲渡益の20%が税金に持って行かれるし、NISA制度は2017年現在で年間120万円までの投資枠の制限が設けられていてどうも不十分であるので、なかなか踏み出せないというのもあるのかも知れない。いっそ年の譲渡益や配当金の総額500万円~1000万円までは無税にした方が、夢があるし、経済も回るのではないかとも取引していると思われる時があるが、そう易々と制度が変わることもないだろう。

PERで見るとそれ程割高ではないらしいが、難しいところだ。25000円台が夢のまた夢のように思われてならない。この先大きく株式投資で儲けるには、業績が伸びそうな隠れた個別銘柄を探すしかなさそうだ。