ポジショントーク ー Twitter上の旨い話に騙されない

既に或る銘柄を所有している投資家が、その銘柄について外側に向かってあれこれと語ることをポジショントークと言います。

株式取引の場合は買いからだけでなく、売りから入ることも出来るので、必ずしもその銘柄についてポジティブな内容とは限りません。売り建てている場合は、株価が下がった方が儲かりますので、ネガティブな発言もして投資家心理を揺さぶります。

かつてはヤフーファイナンス掲示板などでポジショントークは活発でしたが、今現在、主戦場はTwitterに移っているようです。株式取引をしている投資家がインターネットで取引について語る以上は、誰もが度合いの差こそあれ、ポジショントークの色合いが出てしまいます。

しかしながら、筆者のようなTwitterのフォロワーが500人程度で、そのほとんどが株式取引をしている株クラスタと呼ばれる人たちではないフォロワーである場合、しかも1ツイートのプレビュー数が平均して100前後のように少ないアカウントの場合は、ポジショントークをしたところで、株式市場に何ら影響を与えません。ひょっとしたら株式投資をしている数人は、呟いた銘柄について自分で調べて購入するかも知れませんが、それらの買いが株価に影響を与えるという事は無いでしょう。

しかしこれがフォロワー数5000人、1万人、10万人となってくると話は違ってきます。影響力の大きいアカウントのポジショントークは、当該銘柄の株価に大きな影響を与える可能性があります。

数ヶ月前でしたでしょうか、ビットコインが150万か200万の値をつけたときにTwitter上ではビットコインを賞賛し購入を煽るような呟きが散見されましたね。いくらだったか正確な数字は忘れましたが、結局その後ビットコインは大暴落し、50万近くまで下がったんでしたっけ?正確な底値は覚えていませんが、今現在は70万円前後でしたでしょうか。同じくTwitter上では含み損を抱えたとか2000万円損したなんていう、所謂凍死家たちの声が聞かれるようになりました。あの時に煽られて購入した人たちは多かれ少なかれ財産を消耗してしまったのではないでしょうか。筆者のフォロワーのコスプレイヤーさんもビットコインが暴落してどうしたらいいのか右往左往しているツイートが流れてきました。

あのときにビットコインを買い煽っていた人たちは、まさにビットコインを所有(ポジション)していたから、もっと参入者が増えればビットコインの値も上がり自分が儲かるので、未経験者に向けていかにも丁寧に教えて、ビットコインに使われている暗号通貨という技術が素晴らしいものであることを喧伝してこれから先ももっと上がると、銀行に預けてばかりでリスクを取らないのもいいですが、ちょっとリスクを取れば大儲けできますよ、と堅実な貯金家を小馬鹿にしたようなすかした物言いで、陰に陽に、押しては引き、引いては押しと煽りました。その結果が大暴落。この後どうなるかなんて誰にも分かりませんが、ポジショントークに乗っかると、大損することは実感できたのではないでしょうか。

本音と建て前はどの世界でも違うものです。人の誤りをネット上で指摘している輩の本音はというと、嫉妬心から自分の気に入らない人間の評判を読者数の多さにかこつけておとしめ誹謗中傷するのが本当の目的だったり、人の撮った写真を「被写体愛はなかった」などと晒してすかしたツイートをして、イチャモンをつけ貶し評判を落とそうと躍起になるプロカメラマンなどを見るにつけ、建て前と本音が透けて見えます。人を教える立場の人間とは思えないお粗末な行為。

人からよく見られたい、善人に見られたいためだけが目的で正義を気取りたい人間、すなわち手段が目的と化してしまっている人間はインターネット上でよく見かけますが、昔似たようなことをやった人が、民事で訴えられて、会社にも知られ評判が悪くなったのでしょうか、紆余曲折を経て最終的には職をなくしましたね。法廷ではあの意気軒昂で独りよがりな正義心に満ちた書き込みは通用しなかったようです。1日30人ほどが訪れる場所で30万円の損害賠償の判決ですから、ネット上の名誉毀損に対する損害賠償の相場が上がっている現在で、300人、3000人なら100万円くらいは取れそうです。

話が大きく逸れました。ビットコインに話を戻しましょう。

ビットコインが大暴落した際に、15世紀オランダで発生したチューリップバブルのチャートと比較した図がTwitterに流れてきましたが、あの通りならどこまで下がるんだっていう話ですね。ビットコインは株式とは異なり、投資の参考にすべき指標がないので、適正価格が見えにくく、人の欲望の波に揉まれて価格が膨張と縮小を繰り返します。大きく上がったと思ったら大きく下がり、下がったと思えば上がる。当分この動きを繰り返すんじゃないでしょうか。

というわけでビットコインは投機の対象となっています。暗号通貨の技術が素晴らしいとポジショントークで力説されても、その暗号通貨がどう素晴らしいのかまでは分かりやすく伝わってきませんし、そもそも本来の役割である通貨として使えるのか使えないのかという根本的な疑問が湧いてきます。こんなに乱高下する不安定な通貨は通貨として使えるのかどうか。どうもその辺の所が見えてこない。誰も本来の目的である通貨としては見ていなくて、金儲けの手段としか見ていない所から見ても、適正価格から大きく外れて、買いが買いを呼ぶバブルと言える現象に突入しているのでしょう。高値の付くチューリップの球根がどんな綺麗な花を咲かせるかなんてみんなどうだっていいのです。儲かりさえすれば。暗号通貨の技術の素晴らしさなんてみんな本当はどうだっていいんです。儲かりさえすれば。最近流行のフォトジェニック現象とも似ているかも知れません。

また話が逸れました。では株式投資はどうなんだと聞かれると、株にも投機の面がありますが、元々は投資です。或る事業を興したい企業家が呼びかけ、みんなでお金を出し合って、集めた資金で企業家は事業を興し、事業が上手くいけば、お金を出した人たち(投資家)はお金を出したときに交付された証券を元に配当金を受け取れます。もし潰れれば、投資したお金は戻ってきませんが、投資家は集めた資金を返す義務はないので(借金をしているわけではないので)、損をしたという事であれば、責任はそのような事業に投資した投資家自身に付されます。投資する上で投資家が参考にする書類の記載に虚偽があれば、民事訴訟である程度はお金が戻ってくるかも知れません。

投資したお金は帰ってこないのに、投資のどこにうまみがあるのかといったら、配当金です。会社が儲かれば配当金もたくさん出ます。大成長を遂げれば投資した金額以上の配当金が貰える場合もあります。

またその会社が上場していれば、株式市場で証券を売買することも出来ます。業績のいい会社の株は配当もたくさん出ていますから、高く売れます。有望な会社の株は投資した額よりも高く売れるという旨みがあります。上場するという事は、それだけ大規模な会社に成長したという事ですから、株を所有している創業者や上場前からその株を所有していた投資家などは大儲けできるというわけです。

ここで度々ニュースになる未公開株・未上場株の詐欺事件が想起されますね。上場したら高値が付くからと甘い言葉で誘い、誘われた方も、ある程度投資をかじって儲け方のからくりを知っているからこそ、上場したら大きく儲かると信じて購入し騙されてしまったのかも知れません。知っていることが逆に騙される結果に陥るというのも皮肉なものです。

配当金の他の旨みと言えば、日本の株式市場独自の株主優待制度もあげられます。既にテレビのバラエティ番組に引っ張りだこの著名な投資家の方を通してご存じかも知れませんが、その企業にゆかりのある商品を貰えます。スナック菓子やグッズなどの物品もあれば、優待チケット・企業の割引券・商品券の類いもあります。企業に関係の無いような優待を貰えることもありますが、たいていの場合はその企業に関係のある物が貰えます。

ところで企業の株を購入するときに、何を指標にすればいいのでしょうか。株式取引には幾つかの代表的な指標があります。この指標は企業の決算の数字に応じて変化し、有能な投資家は企業の動向に目を光らせ、これらの数値の変化を先取りして機敏に株式取引を行います。それらの株価を決定づける指標やキーワードを、株式用語辞典という形で、自分なりにかみ砕いて解説していきたいと思います。

最後にポジショントークに話を戻しますが、Twitter上には儲かると甘言しているポジトークが、投資家達によって度々成されているのが散見されます。実際に持っているかどうかは不明な場合もありますが、そういったツイートに対して孤軍奮闘しているアカウントもあります。株価の値動きと本人の発言を比較検証して、影響力のある株クラスタの発言の整合性を面白おかしく批判しています。こういうツイートを見ていると、世の中には甘い話が出回っていることがよく分かりますし、その裏側も垣間見えてきます。

いい人そうに見えるからとか、堅実そうに見えるからとか、自分を善人に見えるように綺麗事で飾り立てているような人の話は乗らない方が良いです。外は輝いているように見えて、中は真っ黒です。金環食と同じです。そういった甘言ツイートに対しては、もう一方の視点から検証してみることも重要です。

今日はここまで。次回は株式投資の際に最も参考にされるメジャーな指標、株価収益率についてつらつらと語っていきたいと思います。