ポートレート撮影でF10まで絞る意味 -圧倒的な解像感を得る為の撮影法

スタジオでの人物撮影では、F10まで絞って撮ってみよう。
スタジオでの人物撮影では、F10まで絞って撮ってみよう。

F値を絞るのは何も集合写真の時だけとは限らない。全員にピントを合わせたいとき以外にも、F値を絞って撮ることがある。

ポートレート写真でF値を10まで上げるというと、意外と思われるかも知れない。一般的にポートレートと聞いてイメージするのは、野外で背景を思いっきり暈かして、キラキラした光で被写体を美しく縁取らせ、かつモデルを際立たせるという手法だ。

しかしスタジオで人物写真を撮る時は、F4からF10まで絞ることはザラだ。例えば白ホリや黒ホリなど、背景が真っさらな時はF10まで絞って撮る。何もない背景を暈かしてもしょうがないからだ。

写真の教本などを読んでいても、スタジオでのポートレート撮影は、F10やF11の設定で撮っているものが多い。

今回は55mmの単焦点レンズでF10まで絞って撮った。そこまで絞っても、頭の前から後ろまでピントが合っているという事はなく、頭の後ろ辺りは暈けていたりする。

55mmの単焦点レンズで、F10まで絞って撮影。ここまで絞っても、胸元のペンダントは暈けている。
55mmの単焦点レンズで、F10まで絞って撮影。ここまで絞っても、胸元のペンダントは暈けている。

しかし解像感は半端ない。F10まで絞ることで美しいキレッキレの写真が撮れる。通常レンズは開放F値から2段絞ると、解像感が増すと言われている。どのレンズでも解像感のピークはおそらくF8が共通だろうか。

気をつけなければならないのは、絞りすぎると、光の回折現象が原因のいわゆる小絞り暈けが発生し、逆に画像がぼやけて行ってしまうことだ。一般的にフルサイズ機はF11以上、APS-C機はF9以上に絞ると、小絞り暈けが起こるとされている。

気になるのは明るさの点だが、ソフトボックスやアンブレラで思い切り光を起こしてやると良い。今回の撮影では、被写体を照らすライティングとして、ソフトボックスとアンブレラ合わせて3灯使った。また、背景に色を付けるために、後ろにもう1灯足している。ストロボで明るさを演出するのが限界と感じたら、ISO感度も適度に上げてやると良いだろう。

ISO400で撮影。キャッチライトも大きく入っている。
ISO400で撮影。キャッチライトも大きく入っている。