F値による描写の違い – F値を操ることで背景を暈かしたり、モデル全体にピントを合わせたりすることが出来る

この日は六甲アイランドにある二つの美術館を巡ってきた。六甲ライナーの交通費が僅か3,4駅のわりには往復で480円かかる事もあり、小磯記念美術館と抱き合わせのお得な切符を購入することで、1日で2館巡って少しでも節約に努めたのだった。

エヴァンゲリオン展 神戸ゆかりの美術館

神戸ゆかりの美術館でエヴァンゲリオン展が開催されていたので行ってきたのだ。4年前にも同じタイトルの催しが梅田にある阪急百貨店で開催されており、そちらの方も訪れていたのだが、やはりエヴァファンとしては催しをやっていると観に行きたくなるもので、4年前の記憶が朧気で展示内容の違いは分からなかったが、絵コンテやセル画、原画、漫画の原稿などを堪能出来て愉しいひとときだった。エヴァは世界的にも人気なせいか、髪を赤く染めた海外のアニメ好きと思われる女性他、西洋人もちらほらと散見された。六甲アイランドは外資系企業も多く国際色豊かな地域であることも一因だろうか。

さて、エヴァンゲリオン展といえば、エヴァ初号機の大きなフィギュアが飾ってあるだろうと踏んで、カメラとレンズを持ってきた。美術鑑賞が主な目的で何本もレンズを持っていきたくはなかったので、必要最低限の一本だけを選んだ。Zeiss Otus1.4/55。

カメラはCanon 1DX。屋内なので暗い、ISO感度を上げての撮影になるだろうからと、一回り小さいものの比較的ノイズが乗りやすい5DsRは選択肢から外した。

一通り巡って、売店でグッズを購入してから、巨大フィギュアが設置されているフロアに出て撮影。まずはF2.8の設定。やはり全体をクッキリと写したいのだが、暗いかなと思い、大三元ズームレンズの開放F値を参考に設定してみた。まぁ暗い。ISO200、シャッタースピード1/160秒。

F2.8
F2.8

しかし背景は程よく暈けているし、エヴァ初号機も全身がシャープに映っている。奥の脚の膝から下はボケていってはいるが、そのほかはシャープ。ちなみにピントは目に合わせた。

ほのかな明るさの中で戦闘前の出で立ちで構えているエヴァ初号機も良いが、明るくも撮りたい。ということで開放F値であるF1.4に設定。明るくなったが、ピントを合わせた目と同じ位置にある前に着きだした膝以外はほんのりと暈けた。背景も先ほどよりも結構大きく暈けている。どんよりとした空気を演出できた。ISO感度は100に下げている。

F1.4
F1.4

全部クッキリしているのも写したいよね、ということでF5.6に設定。これはキットレンズのテレ端側の開放F値を参考にして決めた。エヴァ初号機、全身前後にピントが合っています。ただし背景は余り暈けなくなった。ISO感度は1000まで上げ、シャッタースピードも1/125秒と少し遅くした。Otusは大きくて重たいレンズなので自分の中では手ブレしやすいイメージがあり、シャッタースピードを手ブレしないセオリーの「1/焦点距離x2」よりも少し速くした方がいいかとも思われたが、まぁ大丈夫だろうという事で。

F5.6
F5.6

横構図でF1.4やF5.6で撮り比べたり、寄って撮ってみようと、縦構図で同じようにF1.4やF5.6で撮影していった。

F1.4
F1.4
F5.6
F5.6
F1.4
F1.4
F5.6
F5.6
F1.4
F1.4

以下の写真はF5.6とF1.4の違い。

引いて撮った写真と寄って撮った写真の背景のボケ具合にも注目して欲しい。同じF5.6でもやはり近づいて撮ると背景が良く暈ける。

全身をクッキリ撮るか、背景を暈かすかはいつものコスプレ撮影でも悩む所である。絵作りや目的がハッキリとしていれば良いが、そうではない場合が多い。というわけで、どれくらい暈けるのか、メインの被写体はどれくらいのF値で全身がクッキリ写るのか、焦点距離55mm(50mmでも良いだろう)の一例として違いを比較してみた。何かの参考になれば幸い。

屋内でやや暗めの場所で、照明も天井のいろんな箇所からいろんな形のものいろんな大きさで来ている場所だったので綺麗に撮れるかどうか疑問だったが、想像以上に綺麗に撮れていた。我ながら惚れ惚れする。

中の混雑具合とは打って変わって、このフロアは人が3人ほどしかいなかったが、長居するのもなんなので、12枚ほど撮って美術館を出る。

六甲アイランド美術館・神戸ゆかりの美術館
六甲アイランド美術館・神戸ゆかりの美術館

美術館を出てからは、六甲アイランドの風景を数枚撮って帰路についた。久しぶりに雨がやみ晴れ間が広がった日だったが、これが数日後ならニュースにもなった幻想的な赤い夕焼けが撮れていた事だろう。雨上がりの空は赤く焼けやすいという事だろう。夕焼けを撮りたい時の参考として一つ覚えておきたい。