ありきたりな写真から脱却するための4つの方法

はじめは「ありきたり」とレイヤーから言われた写真だったが・・・。
はじめは「ありきたり」とレイヤーから言われた写真だったが・・・。

隠れスポット的なロケ地で撮れば、オンリーワンの写真が撮れる。しかしそうやすやすと山奥や高原にロケに行く事は適わない。かといって近場のコスプレイベントやコスプレスタジオ、もしくはコスプレの聖地と呼ばれている某公園だと、大勢の参加者が押し寄せるから、どうしても同じような写真になってしまう。

今回はありきたりな写真にならないための解消法を考察していこう。

というのも、先日難波にあるコスプレスタジオに赴いて、白いアンティーク調のスペースで撮影していたら、もう一人のレイヤーさんに「この写真だと誰もが撮ってるありきたりの写真になってしまう」というような指摘を受けた。その時にハッと気づいてしまった。確かにその通りだし、そうなってしまう原因にも心当たりがある。

このスペースは縦長で狭いので、広角レンズを使って撮影していた。広角レンズの特徴は広く撮れる事、そしてボケが弱い事だ。故に標準単焦点や中望遠レンズに比べると、面白みのない平面的な写真になりがちだ。使い方が難しいレンズである。

それに広角レンズというのは、コンパクトデジタルカメラに採用されている焦点距離でもある。コンデジで撮った写真というのは、広くは撮れるのだが、どことなく面白みのない写真になりがちなのだ。暈けにくいという点と、フレームの広さがオーソドックスで、全身は入るが何かこう旅先の記念写真のようになってしまう。

おそらくありきたりな写真と皆が感じたのは、上述したように撮れた写真からコンデジで撮った写真を連想したせいではないだろうか。

そんなありきたりな写真にならない撮り方の方法を模索してみよう。

単焦点レンズで背景を暈かす

単焦点で暈かすと、写真の雰囲気がガラッと変わる。
単焦点で暈かすと、写真の雰囲気がガラッと変わる。

一番手っ取り早い方法は、標準もしくは中望遠の単焦点レンズを使って、開放辺りで撮って背景を暈かす方法だ。これだけで空気感が出てくる。実際撮った写真を見せたら、暈かしている写真の方が好きと言われた。

色温度の値を変えてみる

色温度を変えると、写真から伝わってくるイメージや情感も変わる。
色温度を変えると、写真から伝わってくるイメージや情感も変わる。

冷たい印象にするために、色温度を3400Kまで下げて撮ってみた。写真の色味が変わると、雰囲気もガラッと変わる。

ストロボを使わず、環境光だけで撮ってみる

敢えてストロボを使わない事で、ありのままの自然体の質感を伝える。
敢えてストロボを使わない事で、ありのままの自然体の質感を伝える。

ストロボをオフにして、その場にある明かりだけで撮ってみる。最近はアンブレラやソフトボックスを通したストロボ撮影が当たり前になってきているので、敢えて人とは違う道を選ぶ事で、いつもとは違った写真が撮れる。

広角レンズで試行錯誤してみる

広角レンズを巧く使う事で、アリスらしい小ささが表現できた。
広角レンズを巧く使う事で、アリスらしい小ささが表現できた。

敢えて難しい広角レンズを使って、試行錯誤して撮れば、いつもと違う表現が見つかるかも知れない。上の写真は脚立に乗り、斜め上から広角24mmのレンズで撮影した。顔を中央に持ってくる事で広角レンズの歪みが顔に及ばないように注意を払いつつ、引き気味で撮った。人物の周りに大きな空間を設ける事で、アリスらしい小ささが表現できた。

といったように試行錯誤する。

また、小さい液晶画面でのデータ確認ではありきたりな写真に見えても、家に帰ってPCなどの大画面で見ると、意外とイケてると思うこともある。今回もスタジオでのデータ確認ではありきたりな写真かなと思ったのだが、家に帰ってじっくり見てみると、なかなか雰囲気が出てて良いんじゃないか、何であの時ありきたりな写真だと思ったんだろうと疑問に思わざるを得なかった。

実際レイヤーさんにアフターで気に入った写真に星マークを付けて貰ったのだが、冒頭に上げたスペースで広角レンズで撮った写真の内の一枚に星が入っていた。その場の会話でも、あの狭い空間が広々と撮れていて良いと言われた。女心は秋の空とでも言おうか、分からないものである。

余談になるが、今回訪れたスタジオは10月で閉店するので、これから先はもう二度と撮れない。ありきたりかどうか云々関わらず、きっとかけがえのない写真になることだろう。