美術館に古い西洋絵画を見に行くと、シッカリとした構図がカンバスの中にある。中途半端な構図など滅多にない。
絵画と違い、写真は何度でも撮り直しが効く。デジタルカメラ時代なら尚更だ。何かと金のかかるフィルム時代ならまだ構図にこだわっていただろうが、何枚撮ってもタダ同然だから(実際にはカメラ本体の値段をシャッターユニット耐用数で割ったお値段数円程度がかかるけれど)、失敗しても好きなように撮れる。縦斜め奔放に。まぁ何とかなるだろうといった具合に。
しかし構図について考えずに撮った写真というのは、やはりマグレというか、偶然の産物のような気がしないでもない。たとえスマッシュショットであっても、それと同じキマッた構図を撮れるかと言えば、難しいだろう。
ライブハウスの写真ならそれでもいいかもしれないが、やはり構図を練った写真というのは迫力があるし、見ていて美しい。
絵を描く人はまず構図を考える。しかし写真を撮る人はその手軽さから構図については思いが及びにくいのではないだろうか。デジタル時代に到来で、誰でも簡単かつ安価に写真が撮れるようになった。その手軽さ故に見落として仕舞いがちなのが、作品の根本である構図なのではないだろうか。
とはいうものの面倒だ。写真を撮り始めた頃は、構図についてサッパリ分からず本を読んでみたが、何だかよく分からない。解説書の内容そのものが中途半端で場当たり的だったせいかもしれない。
基本的な構図の中でよく使用されるのが3分割構図。縦横に3分割した点のいずれかに人物を置けば良いから、適度な空間が出来て飽きが来ない。
その次が日の丸構図。写真の超初心者が陥りがちな構図だ。何故なら何も考えなくても、構図について何も知らなくても、真ん中に被写体を置いて撮るのは、もはや本能と言っても過言ではないほど自然な行為だからだ。
だいたいこの2つだろうか。4分割構図になると、極端に空間が空きすぎてふしぜんなしゃしんになりがちだから、初心者には扱いが難しい。
今回の撮影では日の丸構図を意識したり、3分割構図を意識して撮ったが、それよりもまず、地面の枯れ葉をスレスレに撮るということを強く意識した。地面をスレスレに撮ることで、開放で思いっきり暈かした背景の葉の群れのキラキラを強調したいという事もあった。
地面の枯れ葉を写し過ぎると少し主張しすぎているような気がするし、そういう撮り方は最近たくさんやってきたので飽きた。だから枯れ葉の地面をスレスレに撮ってみたら面白い絵になるかも知れないなと思ったのだ。
いつもと違う感じで撮れたので撮影者としては満足だし、モデルのレイヤーさん達にも気にいって貰えた。
構図とその日の気分から生まれるアイデアとの兼ね合いで写真が成り立つという事を知った日でもあった。