etoile studio

第47回みなと神戸花火大会を市章山から撮影した時の話

第47回みなと神戸花火大会を市章山から撮影した写真。

前回は芦屋サマーカーニバル(通称サマカ)の花火を撮りに行ったが、今回はみなと神戸花火大会の花火を撮影してきた。

さて神戸開港150周年。1858年の日米修好通商条約に基づき、ロンドン覚え書きを経て、1868年に開港。今年は何かと150周年記念のイベントが神戸市内で開催されている。市内には開港150周年告知の涼やかな色使いのポスターが掲示板に張り出されている。

話はガラッと変わって花火撮影。花火を撮るのは難しいし面倒臭い。まず場所取りをしないといけない。早い人は前日の夜からテントを張って三脚を立て場所取りに勤しんでいる。こう聞いただけで遠慮がちな性格の人からしてみれば、面倒臭いと感じられることだろう。

実際に赴いてみたが、花火撮影で有名なスポットは正午前には既に三脚が所狭しとズラッと並んでいた。手摺りや丘にズラッと三脚だけが花火会場の方を向いて並んでいる。余り見慣れない光景なので異様と言えば異様。

いつもは布引ハーブ園で撮影しているのだけれど、今年はポートアイランドから間近で撮ってみようと思ったけれど、やっぱり夜景と一緒に撮りたいということで渋々、市章山から撮ってみようと元町の駅に降り立ち徒歩で市章山へ。

どうもこの市章山というのは俗称らしく、正式には地図には載っていない。神戸三宮の山、六甲山を夜に見て貰えればお気づきになるかと思うが、錨のマークと市章のマークがライトアップされる。何でも錨の方のマークは、明治天皇行幸の折に市民が日章旗で錨の形を作って天皇を出迎えたのが由来で、山に錨型に木が植えられたのだが、歳月が過ぎ、形が良く分からなくなったのでポートアイランド開設を記念して植え替えられ、電灯が光る形になったのだとか。電灯は全て、太陽光と風力発電で賄われている意外とエコなライトアップである。

錨山の方は地図に正確に載っている。錨山と市章山は隣り合っており、市章山の方が高い。というわけで市章山へと向かった。

どれくらい歩いただろうか。着いた頃には12時前だったように思うから2時間くらいだろうか。灼熱の太陽の中、カップルの聖地ヴィーナスブリッジについた頃には既に心臓が破裂しそうなほどに体力を奪われていた。吐き気もして朝に食べたカレーを戻しかける。いやまだ入り口ですよ。これからが本格的な登山コースなのに、既にこれは無理と体が訴えている。下で撮ろう。

10分ほど休憩したら体調が戻ってきたので、ここまでせっかく来たのだからと気を取り直して再度挑戦。無理せずゆっくりと行くことにした。心を挫きそうな「イノシシ出没注意」の看板や、「スズメバチの巣があります」の注意書きなどもある。とりあえずこまめに休憩を挟みながら市章山を目指した。子供の頃は良く六甲山にハイキングに連れて行って貰っていたが、こんなに息が切れることはなかったのに。

見晴らしの良い場所に辿り着くと、年配のカメラマン達が既に三脚を立てて、会話を弾ませていた。

「どこから来たの」
「下からです」
「いやそういう意味じゃなくて・・・」
「神戸です」
「あぁ、地元ですか」

最後に空いていた最前列の場所は先刻埋まったばかりという事だった。しかし三脚を伸ばせば撮れないこともなさそうだ。どうせなら下で撮った方が良かったかなとぼやいてみたが、どういう絵を撮りたいかに寄りますよと諭される。人生の大先輩の言葉は重みが違う。

せっかく死にそうな目を見ながらここまで来たので、更に上を目指す。歩いてすぐの距離だったが、やはり傾斜が激しく、着いた頃には息が切れた。斜面にも展望用の柵の前にも三脚が所狭しとズラッと並んでいる。奥の広場にはテントが。

これから7時間以上ここで時間を潰さなければならないのかと思うと憂鬱な気分になった。

三脚の場所取りというのはどういうものなのか、さっと見渡してみると、レジャーシートを敷いたり、柵に自転車の防犯チェーンのような物を取り付けたりと、あぁなるほど、こういう風に場所取りしているのかと。ここまでしなければならない上にあと7時間も待たなければいけないのだから、本当に花火撮影は面倒臭い。

とりあえず真ん中の端の方で、三脚を高くすれば前が埋まっていても撮れるだろうと、とりあえず撮れそうな場所に皆と同じように三脚を立てておく。こういう場所取りは元来苦手なのだ。出来れば楽をしたい。

近くの車道に自販機でも置いてあるかと思ったがなかった。かといって屋台なんて物は当然無い。既にペットボトル三本は飲み干してしまった。食べ物もないので、花火終了まで飲まず食わずで過ごさなければならない。空には裸の太陽が雲もまとわず照り続けている。

展望台はこの時点で既に8割は埋まっている。途中本格的な格好をしたハイカーの一群が通りかかっては主のいない三脚だけがズラッと陳列されているこの光景を目の当たりにして笑いを漏らしながら二言三言感想を言い合い、素晴らしい神戸の眺望を背景にスマホで記念撮影をして山を下りていく。僕もむしろそっちの方が楽しいかも知れない。

7時間超の途中経過はパッと省いて、花火の打ち上げ時刻が近づいてきた。この日の日没は大阪が18:55分頃。そこから20分ぐらい経つと、マジックアワーで蒼い空の夜景が撮れるチャンスだ。しかしどういうわけか空が曇りだしてきた。昼間はアレだけ晴れ渡っていたのに。

19時30分になり花火が上がる。今年は神戸開港150周年を記念して、いつもよりも1.5倍の量の花火が上がる。今年だけと言わず是非来年もそうして欲しいが、やはり予算のこともあるのだろうか。

第47回みなと神戸花火大会を市章山から撮影した写真。 第47回みなと神戸花火大会を市章山から撮影した写真。

後ろで仕事仲間か何かの登山サークルとおぼしき女性達が弁当や酒を広げて打ち上がる花火について盛り上がったりスマホで写メを撮っていたりしたのだが、会話がいちいち面白くて、心がすさみそうな撮影の中で楽しませて貰った。

花火が終わり、皆三脚を折りたたんで下山していく。最後に残ったのは僕一人。夜景を撮っていたのだが、さすがに淋しい。

僕も三脚を畳み、山道を下山した。LEDライトで暗い山道を照らしながら歩いていたら、ガサガサッと音がして、ライトを奥に向けてよく見ると、イノシシの横顔が。目が光っている。コッチに近づいてきたので、慌てて元来た道を駆けのぼった。

イノシシの難を避けるため、仕方なしに危険な車道を歩くハメになった。走り屋の聖地なのだろうか。物凄い爆音を響かせて車が走りすぎていったり、180度のカーブにさしかかった車が、車体をガクガク揺るがしながら走りすぎる。どうも心細い。

無事ヴィーナスブリッジに辿り着くと、カップルが数組、ちらほらと見える。あれだけ手摺りの前を占拠していた三脚は一個もない。一人だけ若いカメラマンが鍵のモニュメントを撮っている。僕も夜景を撮ろうかと思ったが、精神的な疲労で三脚を取り出す余裕がなかった。そこから更に下山。このカップル達はここに辿り着くまでに息が切れなかったのだろうか。

花火撮影の方法について書くつもりが、いつの間にか話が脱線して日記の形態になってしまった。この日の撮影写真とカメラの設定などは、また別の機会に。