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くら寿司アルバイトの不適切動画騒動以降も相次ぐ外食産業やコンビニのバイトテロ。過去には1000万円の損害賠償請求も。

アルバイト二人の不適切動画を受け、くら寿司が公式ホームページで対応を発表した。
アルバイト二人の不適切動画を受け、くら寿司が公式ホームページで対応を発表した。

ここ数日バイトテロと呼ばれる行為がニュースを賑わしている。以前からそのような行為は散発的に発生しており度々ニュースになっていたが、今回のように大々的に報道され客・投資家・会社・テレビ・ネットなどを巻き込んで社会的大騒動に発展したのは初めてではないだろうか。

くら寿司のアルバイト二人が厨房で捌いた魚をゴミ箱に入れてそれをまな板に戻すという一部始終を収めた動画がインターネットで拡散され問題になった。これを受けてくら寿司はアルバイト二人に対し民事・刑事両面で法的処置を執る手続きに着手したと公表した。

この事件の後にもコンビニや飲食店など別のチェーン店でバイトテロと呼ばれる行為を収めた動画の拡散が相次いだ。くら寿司は断固とした法的処置を執ることで、これら安易な行為が蔓延る昨今の風潮に一石を投じるとしたが、相次いで起こる不適切動画の拡散事件を受け、果たして法的処置を執ることが抑止力に繫がるだろうかという点がインターネットやテレビ上で議論されている。

くら寿司が公表した対応策。
くら寿司が公表した対応策。

或る新進気鋭の社会学者はこのようなバイトテロ的な行為は昔からバイトの現場ではちょくちょく起こっており、当時はSNSが無かったので表沙汰になることはなくここまで大事に至ることはなかったと述べて司会者からたしなめられていた。また或る弁護士は、アルバイト二人を訴えるなら動画を拡散した人たちも訴えるべきだと述べている。動画を拡散することで店に対して二人のアルバイトと同じように風評被害を与えたという理屈だ。

テレビやネット上ではこの事件に関して様々な意見が飛び交っている。くら寿司と言えば筆者もアフターで良く利用する場所なので、実際に土日に放送しているテレビのワイドショーで動画を見て気分を害し、ちょっとくら寿司で食べる気がしなくなったなと感じたが、人の噂も七十五日というし、3ヶ月くらい経てば今回の騒動もすっかり忘れ去られて気分を害した動画のことも頭の中に残らなくなるのではないかとも思う。

それにしてもこの騒動が持ち上がった時は、くら寿司の株価が下がった。投資家達の繊細極まりない心理の琴線と抜け目ない駆け引きの交錯で揺れ動く株価はこの手の騒動に敏感なので2%程下がっていた。つまりこのアルバイト達の行為は、客・投資家・店とそこで働く従業員達の三者に迷惑をかけたことになる。

バイトの時給が安いからこういうことが起こるという人もいるが、果たして時給が安いからと言って倫理に反する行為や法律に触れる行為をしても良いという事にはなるまい。そのような考え方の行き着く先は、食品工場の契約社員が工場内で製品に農薬を混入して逮捕された数年前の陰湿な事件だろう。犯人に対する民事訴訟の判決での損害賠償額は1億円と聞く。会社の待遇に不満があるなら、法に則った方法で抗議すれば良いだけの話だ。しかしアルバイトにそれだけのことを成し遂げる意志や団結力はあるだろうか。フランスでは若者達が度々デモを起こしていて、つい先だっても金持ち優遇政策のマクロン政権に対してパリ市街で市民達が激しいデモを起こしたところだ。日本の場合はデモというとどうも左寄りのプロ市民と呼ばれる集団のイメージと結びついてしまい、インターネットの洗礼を受けた昨今の若者の風潮としては右寄りな傾向にあるために、デモを毛嫌いしてダサいという認識が浸透してるように思われる。結局待遇に不満があったとしてもツイッターで手軽に吐き出すしかないというのが実情だろうか。或いはその程度の事なのかもしれない。

バイトテロという行為は若干茶化した造語にも受け取れるが、待遇が悪いからこのような事件が起こる、待遇が悪いから会社が迷惑を被る違法行為をしてもいい、工場の従業員の待遇が悪いと商品に毒を盛られるような事件が今後も起こるだろうという論調は、まさしく人命や財産に関わる脅しで事を成し遂げようとするテロルの思想だ。このような思想がまかり通れば、バイトテロという言葉はまさしく本物のテロと変わらないという事になる。そのような思想に与するわけには行かない。

このようなバイトテロが起こると、時間が経って騒ぎが沈静化し、その後このアルバイトがどうなったのか、店がどうなったのかという事は振り返られることがない。しかしニュースによると、過去にこの手の騒動で解雇されたアルバイトはその後1000万円超の損害賠償請求を起こされたそうだ。

過去には1,000万円超損害賠償も 相次ぐ“不適切動画”投稿(FNN)

常識やまともな倫理観があれば、今回のようなふざけた行為は起こらないだろう。今回の件を受けて自らのバイト時代の経験を振り返っているツイートも散見される。大体はまともに働いていたというものだった。一方で騒動になったバイトの子を知っているという同級生を名乗り出た人が、学生時代から自分のやってることが面白いと思っていて色々やっているタイプの子だったが全然つまらなかったから、つまらないって指摘してあげるのが一番の抑止力とツイートしていた。

そういえばこれだけ騒動になっているが、この二人のアルバイトの年齢を知らない。学生バイトなのか純粋なアルバイトなのか。たいして興味も湧かない。誰かが報道してくれれば多少はそうなのかと思うだろうが、一週間も経てばいずれ忘れ去られるのだろう。