梅田から少し離れたところに、梅田スカイビルという高層ビルがある。この中にはシネリーブル梅田という中規模の映画館が入っていて、たまに映画を観に行くのだけれど、なぜこんな梅田から少し離れた、東は開発の手が着いていない空き地の、西は住宅街と商業地区の境界線のような場所に建てたのだろうと来る度にいつも思う。
ヨドバシカメラに辿り着けないウメダンジョン
というのも、阪神梅田駅・JR大阪駅からのアクセスが非常に悪かった。迷路のような梅田駅の通路は梅田ンジョンという呼び名でツイッターでも全国的に話題になったが、本当にアクセスが悪い。JR大阪駅を北口から出て真向かいにあるヨドバシカメラへ行こうにも、バスの停留所があり、横断歩道がないので大きく迂回しなければ辿り着けない始末。
ヨドバシ梅田へ辿り着くために筆者はいつも阪神梅田駅の地下東改札口で降りて、そのまま阪急百貨店の手前で左に曲がり、地下駐輪場にも通じている大きめのエレベータで地上へ出て、そこから北進して横断歩道を渡るという経路を取っていた。おそらく一番アクセスしやすい経路だ。もう一経路、御堂筋線改札右側の店舗の並んでいる通路を選べば方角的には辿り着けそうな感じがするのだが、この通路を選んでしまうと思わぬところに出てなかなか辿り着けない。なるほど確かにドラクエのダンジョンだ。市営地下鉄御堂筋線を使っている人なら、北側出口で降りて斜め左に直進すればすぐにヨドバシ梅田の地下一階の入り口に辿り着く。
ところが最近、遂に念願の連絡橋が出来た。JR大阪駅から連絡橋が2本かかったので、アクセスしやすくなった。
一方で梅田スカイビルの方はというと、阪神梅田駅やJR大阪駅から一番近道で行こうと思えば西側の道路沿いに行くのが正解のような感じがするが、産業道路のような趣を呈していて、分厚いガードレールもあり、歩行者は歩くな渡るなといったイメージ。道路に隣接するのは長らく放置されている梅田貨物駅跡、白い塀で囲まれていてしょっちゅう工事しているイメージがあるのだが何も建たない。最近ようやく何か建ちそうな気配ではある。
ウメキタ再開発の始動でアクセスが改善!
しかしこちらの領域も数年前に再開発でグランフロント大阪が出来、歩道も整備されて歩きやすくなった。ただJR大阪駅前北側のバスが停まる道路がくせ者で、安全面の問題からここが渡れないから未だにどういったアクセス方法が一番楽かがよく掴めていない。
また、梅田スカイビルに向かうには長い長い地下通路を通り抜ける必要があった。初めて訪れた人はこの長いトンネルいつ終わるんだろうと思われるかもしれない。とにかく長い地下通路だったのだが、なかなかに歴史のある通路で、今年の1月頃だっただろうか、こちらの方も改修され、かなり短く、普通の長さになってしまった。なくなる前に一度撮影しておけば良かった。
そんなわけで、JR大阪駅北側の再開発は着々と進んでいる。その先駆け武者のような形で梅田スカイビルは40階の威容を誇っているのだが、竣工したのは1993年と、その歴史は20年以上も前に遡る。今まで梅田の中心街の北側に背の高いランドマークがぽつんとあった感じだ。
ウメダンジョンの複雑さと長い地下通路のせいでどうも遠い場所にあるという印象だったのだが、歩いて15分くらいだろうか、渋谷駅からNHKまでの距離とそう変わらないかもしれない。むしろ近いくらいだろうか。
それらの障壁が解消されて、ようやく近くなったところで、久しぶりに行ってきた。昼の内は映画を観て、16時半頃から空中庭園展望台へ。
屋外と屋内、二通りの夜景を楽しめる空中庭園展望台
受付でコープこうべの組合員証を提示すると10%割引になる。1000円のところ900円で入場。2018年の7月以降は1500円に値上げするそうだ。おととい訪れたあべのハルカスの展望台ハルカス300と同じ入場料になるので、向こうを張っているのだろうか。
前日が22度の気温で初夏の陽気だったのだが、この日は8度。昨日の暖かさに油断して軽めの防寒で訪れたが、屋上は風が吹いていて寒かった。そんな寒い中を三脚を立てて夜の8時過ぎまで夜景を撮っていった。そのせいか翌日喉の調子が悪くなった。
野外の展望台のみの撮影を想定していたので、屋内で撮ることは想定していなかった。受付のお姉さんに三脚を立てて撮っても良いかと聞いてみたら、他の観光客の邪魔にならなければOKとのこと。
忍者レフを持ってきていなかったので、窓ガラスの写り込みが激しい。屋内で撮れると知っていたら忍者レフを持ってきていたが、肩幅ほどの広さとはいえ、どうも目立つし邪魔になる可能性もある。どっちにしても一人分のスペースは取るわけだから、邪魔にはならないかもしれないが。暗幕を使えば確実に写り込みは防げるが、暗幕で検索してみたら窓に貼り付けるような形の使用例が出てきたので見た目邪魔かもしれない。
あべのハルカスのハルカス300展望台との違い
あべのハルカスのハルカス300に二日前に訪れたばかりだったので、違いが浮き彫りになった。ハルカス300の方は夜になると窓ガラスを拭くクリーンスタッフが頻繁に窓を拭いて曇りを取り除いていた。空中庭園展望台の方はそういった事はなかった。また実際の観光客数は不明だが、混雑感でいえば、空中庭園展望台の方が混んでいるイメージがある。やはり収容出来る広さの違いからだろう。それでも夜9時以降になると観光客が減って空いてきた感がある。訪れたのが週末金曜なので、土日は混む可能性がある。
国のインバウンド政策で外国人観光客の急増を実感
あとやはりお客さんの層としては中国や韓国からの観光客が6〜7割を占めている印象。聞こえてくる言葉が中国語かハングルが多い。ヨーロッパ人やアメリカ人などの白人は数人ちらほら見かけるといった程度。スマホでの撮影を二度頼まれたが、どちらも中国人だった。ということは外国人観光客がいなかったら、3月中旬週末の金曜のこの時間帯は、かなり閑散としていたということになる。
10年ほど前はどうだったのだろうとふと思った。安倍政権に入ってからだろうか、インバウンドの興隆でここ数年大阪の至る所で中国人や韓国人の観光客が激増したイメージがある。昨日京都にも訪れたが、市バスの中でバス運転手の案内を聞き取ってリピートしている中国人のカップルがいた。
政府は2020年までの訪日外国人の数と消費額の目標を年間4000万人、8兆円に設定した。あと2年で今の状態の2倍に増えるということになる。宿や公共交通機関がパンクしそうだ。今でさえ市バスは満杯状態なのに。聞けば時の小泉政権が2003年に観光立国としての目標をかかげたのだが、10年経って遂にその成果が実を結んだ形だ。インバウンドで日本経済が潤うならとても良いことだ。人口も産業も頭打ちの日本経済の大きな方向転換を示唆している気がする。
素晴らしい眺めの屋外、冬は寒いから防寒対策が必須
屋上の展望台へのアクセスは階段と、身障者用にエレベーターの二つがある。階段を上ったところまでは暖房が効いているので凄く暖かいが、そこから一歩外へ出ると風の冷たさに晒される。
屋上からの眺めは素晴らしかったが、あいにくの曇り空。昼間で雨が降っていた。なぜこんな日に訪れたのか。雨上がりの空はきっと綺麗に違いないと思ったから。天気予報では17時は曇り、18時は晴れ。しかし晴れなかった。
警備員は常時二人待機。念のために三脚を立てて撮影しても良いかと尋ねたら、観光客の邪魔にならないようなら立てても良いという。
明るい内は三脚なしで撮影していたが、どうもどんよりしているし、光が来ないし、寒いしでいったん下に戻る。屋内からの眺めもまた格別で、大阪市街のビルが重なるようにして奥まで連なっている。360度見渡せる窓、フードコートがあり、テーブルと椅子があり、くつろぎながら眺望を楽しめるソファがある。
日の入りが近づいてきたので再び外へ。日の入り時間は18時5分。明石海峡大橋あたりの遠く南の方は、薄くうっすらとオレンジがかっていたが、後はどんより。それに寒い。風さえ吹かなければ我慢できる寒さだが、40階なので風がピューピュー吹き、とにかく寒い。手袋を持ってきておいて良かった。
空中庭園展望台で夜景を撮るときの撮影方法
日が沈み空が暮れてくると、街の明かりがぽつりぽつりと増え出す。前方の乗り越え防止用の棘の柵が写り込まないように、レンズを水平にする必要がある。ハルカス300で夜景を撮影したときと同じレンズ(Canon 16-35mm F2.8L 2 USMとOtus1.4/55)と同じF値(F8・F11)で撮影したが、液晶画面で撮影データを等倍表示して確認してみると、どうも中景がボヤッとしている。ハルカス300の時は斜め下にレンズを向けていたから全体にピントが合いやすかったが、今回は水平だから全体にピントが合いにくいのだろうか。30秒露光で風が強かったから、写真がブレたのかもしれない。
棘の柵を写り込ませてでも撮った方が夜景がたくさん入るし、気に入らなければ後でトリミングすれば良いかということで、棘も入れて撮影した。
一通り満足したので、屋内に戻る。野外と違って暖かいし風も吹かないからブレずに撮りやすいが、窓ガラスの写り込みがどうしても発生してしまうので綺麗に撮るのが難しい。まさにトレードオフ。あまり明るく撮らなければ映り込みも夜景の明かりに溶け込んで分かりづらいから良いのだけれど、問題は空や貨物駅跡空き地が黒いので、窓ガラスの写り込みがわかりやすく表れてしまう。
夜8時半も過ぎると人が少なくなってきたので、一番端の目立たない、柱が入り組んだところで撮っていった。写真の右側1/3に背後の明かりに照らされた空間が映り込む。試しに着ていた黒いジャケットを脱いで、壁を起点に右側へ向かって暗幕代わりに広げて撮影してみたら、写り込みが大幅に減らせた。それでも完全に防げなかったのは、16mmの広角での撮影だからだろう。55mmでも暗幕なしで撮ったが、写り込みはなかった。
高速道路がビルを突き抜けて走る光景も見れる!
以前ツイッターで話題になった、高速道路がビルを突き抜けて走っている珍しい光景が写っているのも確認できた。あの丸ビルはここにあったのかと、高速道路マニアの自分などは感激なのだが、夜景写真を家で確認するときは、あの高速道路はこのようにしてビルの合間を縫うように走っているのかとその雄姿を発見するのが楽しかったりする。
大阪城に、HEPの赤い観覧車、高層ビル、高級ホテル、ビジネスビル、オートバックスの看板、淀川にかかる何本もの橋、団地群、遠くにはエキスポシティの観覧車と太陽の塔が小さく見える。また晴れた日に、夕陽が綺麗な時に訪れることにしよう。