鈴鹿の森庭園 – まほろば探訪 第70回

鈴鹿の森庭園の梅。

京都は城南宮の方で梅は堪能したから今年はもう良いかと思っていたのだが、Twitterの方で度々三重県「鈴鹿の森庭園」の幻想的な梅の写真がリツイートされてきたので、やはり気になる。その写真を撮ったのは4日程前というからまだ満開状態が保たれているのではないか。2日程しんしんと雨が降ってはいたが、雨上がりの惜梅がなかなか良いという話も城南宮のサイトでされていたので良い写真が撮れるのではないかと、そう1度決めたら行動は早く、格安チケットの店で近鉄四日市駅までの切符を買って、翌日早朝から寝不足気味の体をひねり起こして片道4時間以上の道のりを電車にバスにと乗り継いでえっちらおっちらと向かったのだった。

だいたいTwitterの方でフォトジェニックな撮影スポットの写真が流れるときは去年撮ったものだったり、満開の時期に撮ったものだったりで、写真に撮影日が附されているのもあれば抜けているのもあり、写真だけを頼りに出向くとガッカリすることもあるので、事前に公式サイトやTwitterの方で開花状況が日々報告されていれば、そちらの方を事前に参考にして決めた方が良い。

今回はどうだったかというと、ツイート主はフォロワーが百桁台だったか、むしろ最近は数千数万のフォロワーのツイートよりも百桁台くらいのツイートの方が信憑性が高いと感じるのは、ネットでは意気軒昂だったインフルエンサーが経歴詐称していた実態が数件暴かれたりフォロワー数の多さを恃みに他人を攻撃したり下らないことまでマウントを取ることに専念していたりで悪辣な連中が多く辟易としていたという経緯もある。フォロワー数が多いからと言って、またファボやリツイートが多いからと言って、当人が人格者であったりツイートの内容が正しいとは限らないという事実を痛感することもしばしば。

それはさておき、今回のツイート主によると入場料が最高値の1,700円だったということで、やはりあれだけの幻想的な写真が撮れるほどの満開状態だった。そこでこの変動制入場料を目安にしていくかどうか決めることにしたのだが、出発前日にさっそく1,500円に値下がりしていたので、コレはちょっと雲行きが怪しくなってきたなというところで、当日の電車の中で鈴鹿の森庭園の公式ツイートから1,200円に値下がりした事を知り、気持ちが萎えてきた。しかし既に電車の中なので引き返す事も出来ずに現地へ向かった。

梅祭りの季節には臨時直行バスが運行

鈴鹿の森庭園へは電車とバスで向かった。梅祭りの期間はJR四日市駅と近鉄四日市駅から鈴鹿の森庭園へ直通の臨時バスが片道750円で運行しており(2021年3月現在)、金土日のライトアップがある日だけ20時台の帰りのバスも運行するということだったので休日を選んだのもある。ライトアップも撮りたかった。

近鉄四日市駅は西口と東口があり、間違えて西口の方に出たので、6番のバス停が見つからなかった。Googleマップで確認して間違いに気づき構内に今一度入り東口へと向かい、右折して横断歩道を渡り無事バス停に着いた。地図で建物の名前を見ても、地元民ではないからどれがその名称の建物か皆目見当が付かない。近鉄四日市駅は数年前に四日市コンビナートの工場群を撮って以来だ。駅までの中央を貫く幅の広い幹線道路が懐かしい。

臨時バスが運行する近鉄四日市駅のバス停。椿大神社へも向かう。

バスに乗り遅れてもタクシーがある。ただし徒歩では無理だ。近鉄四日市駅からバスで40分ちかくかかる場所にある。25kmぐらいの距離だろうか。

バスが到着したのはだだっ広い空き地。ベンチと簡易トイレが設置されている。そこから3分程歩くと会場に辿り着く。

駐車場の方も無料で開放されている。かなり広い空き地に多くの車が止まっていた。

会場から徒歩1分の無料駐車場。

その日の咲き具合により入場料が700円から1700円に変動するシステムだが、満開の写真を見れば1700円払っても観る価値はある。入場料に300円プラスすれば、1日券となりピンク色のリストバンドを腕に巻いて貰えて再入場が可能となる。通常の入場券の場合は再入場は不可。

この日は1,200円だったので、1日券で1,500円払って入ることになった。

椿大神社への臨時バスも運行

直通バスがやってくるのが1日3回で、そのうち一番速い10時台を選んだのだが、夜まで居るわけだから結構持て余してしまうかと思ったらそうでもなく、近くに日本最古の神社「椿大神社」がありそちらへも臨時バスが出ていて200円で行けるというので、そこで小一時間程時間を潰して、という言い方をすると神様のバチが当たる、神社でお参りして、御朱印を貰って、特に撮るものもない、岸信介元首相が植えたという木と樹齢千年は超えていそうなご神木、何やら地元の人が手を合わせているのでありがたい木なのだろうと、それを撮って良いのかどうか迷ったが写真に数枚収めて、それで結構時間が潰れたのは、人気の神社らしく参拝に長蛇の列が出来ていたせいだ。緊急事態宣言などどこ吹く風。三重県は1週間程前に解除されたそう。

岸信介元総理大臣植樹、クロガネモチの木。

神社の鳥居を過ぎる人達の中には一礼し、又去って行くときも若い夫婦が一礼しているのを見かけた。自動車が2台停まっていたが内1台のドアが全開しており、神職が御幣を振るって「祓えたまえ浄めたまえ・・・」と手早く左右に移動して繰り返し唱えていた。それらの光景を見ていると、日本は無宗教の国と言われることがあるが、意外と信心深いところがある。それはやはり現世利益だとか神頼み的な面が強いのだろう。少し前にトルコの映画を見たときに、日本を暗にさして、あれだけ経済的に豊かなのに自殺者が多いのは宗教がないからだと議論するくだりがあったが、キリスト教やイスラム教と違い、仏教や神道は自殺を禁止していないのも一因としてあるのだろう。ミサやら礼拝やらが日常のスケジュールに組み込まれ常日頃から神の教えを授かるわけだが、日本の仏教や神道の方はと言うと、そこまで厳格なスケジュールもない。観光がてらに神社に立ち寄って仕事が上手く行きますようにとか恋愛成就とか安産祈願・交通安全・受験合格など良いとこ取りで神頼み。正月に初詣、子供が生まれたらお参り、季節や人生の節目に訪れることもある。日本にはいろんな物に神様が宿っており、いつも神様が見ているから、悪いことは出来ない、行儀が良い、とまで言うのは美化しすぎだろう。そこら辺に落ちているコンビニの食べ散らかしたゴミやら空き缶やら昨今の様々な大小事件を見れば、そんなのは道徳的な嘘であることが良く分かる。神様の目だけでは悪さは抑えられない証左だ。「天網恢恢疎にして漏らさず」なんて論語の言葉も儒者の願望に過ぎない。

神社で15分程費やしただろうか。バス停で10分程待ち鈴鹿の森庭園へ戻り夕暮れ時の梅を撮っていった。

ギリギリまで撮っていてバスの発車時刻の5分前に乗り場に着いた。バスに乗り遅れたとしても会場前にタクシーが何台か停まっていた空なんとかなるだろうと思ったが、予約しないと駄目みたいな事が書かれていたので、誰かの予約済みのタクシーだったのだろうか、もしくは観光客を宛てにして停まっていたのかもしれない。

今回は鈴鹿の森庭園で梅を撮る際に、持っていくと便利なレンズや撮影体験を綴っていきたい。(全文:12,100字・掲載写真:47枚)

記事の内容

  • 当日の梅の花の咲き具合
  • 各梅の木の作例
  • ヒヨドリやメジロの作例
  • 望遠レンズの効果
  • F値の設定
  • 彩り豊かに見せる為のカメラの設定/RAW現像
  • 夕暮れ時の撮影
  • ライトアップされた梅の撮り方
  • この日使用した各レンズの作例
  • ライトアップ撮影に必要な機材