城南宮 – まほろば探訪 第69回

城南宮の梅と椿

Twitterのフォロワーさんが京都鳥羽の城南宮という神社で撮影した素晴らしい梅の写真を上げておられたのを見て、是非行ってみたいと旅情と撮影欲を掻き立てられたのだが、あいにくCanon 5DsRを修理に出している最中で、1DX mark3もあるにはあるが、画素数が比較的少なく、そのような幽玄の美を体現した梅と椿の景色を撮るなら画素数が多い5DsRで撮りたいという思いが勝ったので、キヤノンから修理完了の電話が届いた当日に修理完了品を取りに行き翌日鳥羽まで出掛けた。

鳥羽と聞くと子供の頃に旅行に行った名残だろうか、伊勢志摩の方をまず思い起こしたのだが、京都は伏見区にも鳥羽という地名はあり、幕末から明治にかけて行われた戊辰戦争の始まりである鳥羽伏見の戦いでも有名。この城南宮はその戦において、薩摩藩の軍勢が陣を張り大砲を撃ったことから戦端が開かれた歴史スポットでもある。

身近な場所に豪勢な梅の名所がある事に意外だった。身近と言っても電車とバスを乗り継いで片道2時間程かかるが、もう一つ近畿で梅のスポットとして有名な三重の鈴鹿にある名所と比べると、そこそこ気軽に足を伸ばせる場所にある。

実際に現地に着いてみると、この日は快晴だったのか、平日でもそこそこ人がいたが酷い混雑という程ではなかった。コロナ禍で外国人観光客が少ないというのもあるだろう。

コロナ禍前は国のインバウンド政策により京都の混雑具合が酷くて観光光害などとマスコミの報道でも揶揄されていたが、これくらいの余裕のある人出がちょうど良い。あとは満開の時期を過ぎて、Twitterにあげられていた写真のようではなかったこともあるかもしれない。5割程散っていると公式ホームページの報告にあった。それもまた愛でるのが風流というものらしい、「惜梅」と言って散り始めの梅を惜しむのも愉しめるというようなことも書いてあった。

撮影スポットともなっている「春の山」。神苑に入って少し歩くと出会うわけだが、確かに5割程散っていてTwitterの写真とは違うイメージだったが、こちらは一応正面だろう。Twitterで人気の撮影スポットはぐるっと回って向こう側から撮影した写真となる。どちらにしても小川に見立てられた水辺の梅はあらかた散っていて淋しい姿をしていた。これが満開ならば随分と素敵な絵になっていたことだろう。

その隣には梅の大木が植わってあり、満開状態だった。メジロなどが2、3羽、陽光を照り返す緑の椿の木から移り飛んできては花の蜜を忙しなく啄んでいた。

先へ行くと小道に分かれてここでも梅を楽しむことが出来る。そしていよいよ幻想的な梅の庭の光景が撮れるスポットへとやって来た。皆一眼カメラや、スマホ、自撮り棒で撮っているが、一応、三脚、一脚、自撮り棒での撮影は禁止になっているとアナウンスが定期的に流されている。

その先へ行くと様々な品種や物語のある椿が植わっており木札で名が掲げられている。源氏物語縁の椿の一角もあった。平安の庭を抜けて、道を挟み、城南離宮の庭と室町・桃山の庭へ。桃山の方は虫除けの筵が被せられていたがこの景色もなかなかに風情があって良い。

散策するには長くもなく短くもなく、ちょうど良い広さで、冬がようやく明けようとしている時候の久しぶりの花を愉しんだ。

城南宮で梅やメジロを撮影する際に持っていきたいレンズ

初めての撮影スポットなので、やはりいつものようにどのレンズを持っていくのかがまず大事であるし迷う。Twitterで検索しても中々その辺りの詳細な情報までは出てこないし、聞くのも憚られるので、目的に合わせてレンズを持参していくことにした。

今回は城南宮で梅やメジロを撮るときの、レンズやカメラの設定を見ていきたい。(全文:11,600字 / 掲載写真:37枚)

記事の内容

  • 持参したカメラとレンズ
  • レンズ選択の意図と実際
  • 圧縮効果
  • 被写界深度の違いによる絵作りの差異
  • 椿の花を撮る
  • APS-C機に最適なレンズの算出方法
  • 200mmと35mmの違い
  • 35mmで撮る花
  • 「春の山」の各焦点距離の作例
  • 超広角ズームレンズは有効か
  • メジロを撮る方法
  • RAW現像を見越した撮影時の撮り方

今回の撮影で使用したレンズ