光が欲しい。自然光が欲しい。スタジオで撮影しているといつもそう願ってやまない。これがもし本物のマンションの部屋だったら、窓からの光と白いカーテンを活かして、どれだけ素晴らしい写真が撮れた事だろう。
ハコアム大阪8階の自然光が一切入らないマンション風の部屋で、放課後遊んでいる学生風に撮ってくれと言われ、久しぶりに頭を捻らせた。窓はあるが開かない。外は舞台で見かけるような書き割りの青空と雲。スタジオ用の照明は天井についているが、この環境のままでマンションの部屋の中のように撮るのは少し難しい。
書き割りの空は不自然なので、いっそのこと白く飛ばしてしまうことにした。飛ばすには白いカーテンに向かってストロボ光を光らせるのが一番いい。白ホリのように窓が白くなるだろう。
次は自然光の再現だ。マンションの部屋の窓から光が入ってくるという事は、それをそのままストロボで再現すればいい。ストロボを取り付けたソフトボックスを窓の前に置いて、二人の顔に向ける。以下の写真のような配置になる。
カメラの液晶でデータを確認した時、やった!と心の中でガッツポーズを取った。自然光溢れるマンションのイメージに近い感じで撮ることが出来た。
欲を言えばもっとカーテンを白く飛ばしたかった。実際のスタジオはやや暗めなので、ストロボがないとどうにもならない感じだ。飽くまで本物のマンションの昼下がりの部屋のように撮るという意味でだけれど。
しかしこうして難解な問題にぶつかると、嫌でも頭を使うことになるからスキルアップにはちょうど良い。