この日はコスプレイヤーさんが構図を書いたメモを持ってきていて、それを見ながら撮影したりもした。構図は4コマほどあった。しかしそれ以外の構図もレイヤーさんのひょんな思いつきから撮る事になった。
小道具は照明器具。なるほど今までストロボを使わずにスタジオにある照明器具だけで雰囲気のある写真を撮ってきたから、恐らく今回も上手く撮れるだろう。というわけで上手く撮れた。
まず照明器具を使う場合は、下からだとお化けライトになりがちなので、スタジオに備え付けられていた本を積み重ねた上に照明を置いてなるべく上の方に来るようにした。
ここまではレイヤーさんの発案。後はカメラマン側がどう撮るかである。どう撮るかというのは重要なことで、ひいてはコスプレイヤーが求めているであろう写真をどのようにして引き出すかという事もである。可能性を投企して蓋然性に賭けるわけだ。
まずはストロボなしで撮っていった。
カメラの設定を見ていこう。F1.4、シャッタースピード1/250秒、ISO感度200
カメラの設定を見直すことは重要だ。この写真はどのような意図で撮ったのか、自分自身の撮影の軌跡を振り返ることになる。振り返ることで頭にスキルとして蓄積されていく。復習と同じだ。
F1.4は思いっきり暈かしてふんわりとした仕上がりにしたいという意図の他に、照明器具の明るさを確保したかった。しかしこの照明器具、結構な明るさがあったので、余り明るいカメラの設定にすると、明るすぎて白飛びしてしまいそうだった。
シャッタースピードは1/250秒。このブログで繰り返し述べてきたが、なるべく背景を暗く落としたいために、F値を小さくして明るくした分を、シャッタースピードを速めることで暗くした。1/250秒はCanonのストロボ光量が極端に落ちない最低ラインのシャッタースピードだ。これ以上シャッタースピードを速くするとストロボ光が極端に暗くなってしまう。
ISO感度は200。高輝度側・階調優先モードを使用しているため最低ISO感度の数値が200となっている。
この設定で撮ってみると、照明が照らしている被写体以外は真っ暗になってしまった。これはこれで雰囲気があって良いが、どうせなら衣装をもうちょっと明るく持ち上げたいという事で、両サイド横の、若干後ろにソフトボックスとアンブレラを置いて光らせることにした。
そうすると雰囲気のある写真が撮れた。カメラの設定はそのまま。両サイドのストロボは余り明るくなりすぎないように調整する。お好みでいい。ストロボを炊いたことで背景の明るさも持ち上がり、部屋の雰囲気が出て、更には照明が明るく照らすことによりメインの被写体が何であるかを見る者に引き寄せさせる。カメラマンが明確なスキル・撮り方以外に語るのは余分であろう。鑑賞者の視点を妨げる恐れもあるのでこの当たりで筆を置く。