滝の撮影に最適な天気は快晴では無く太陽の出ていない曇りの日、というのは実際に撮りに行ってみてよく分かった。もう一点重要なのは、やはりレンズの焦点距離だ。今回は風光明媚な赤目四十八滝出滝を撮るときに便利なレンズを紹介していく。
赤目四十八滝には48以上の滝があるとされるが、その中でも赤目五瀑と称される大きくて見栄えの良い滝が5つある。それらの作例を上げていきながら、必要な焦点距離を探っていきたい。
まずはレンズだが、滝の流れを絹糸のように白く滑らかに撮るときは、開放F値で撮る事はまず無い。スローシャッターで撮る事になるので、F値を上げなければ写真が真っ白になってしまう。そのF値もスローシャッターで明るくなってしまうことに対応するために、9、11、22といったように大きく上げることになる。
ゆえにレンズは開放F値の小さい単焦点レンズで無くても良い。むしろズームレンズの方が撮りやすい。画質に関してこだわりがある場合は、高価なズームレンズを使うと良いだろう。F値を大きくした場合の画質の違いに関しては、ネットでの検索や書籍などから情報を得て各自確認して頂きたい。
以下、フルサイズ機での撮影を前提に、焦点距離を記していきたい。APS-C機をお使いの方は、記事中に記載されている焦点距離を1.5倍(キヤノンのカメラは
1.6倍)してフルサイズ換算して頂きたい。
不動滝
橋の上から撮る事になる不動滝。上の作例の焦点距離は44mm。所謂日の丸構図で、滝だけで無く、蒼く光る滝壺や、遠景の緑も入れている。
アップ目に撮るとどうだろう。焦点距離70mmで綺麗に収まった。
焦点距離26mm。周りの緑も大胆に入れることで、森林の良さが伝わる。
千手滝
千手滝はどこまで広く撮るべきか迷う。滝壺が広く、周りの岩や緑も綺麗だからだ。しかしあまりに超広角で広く取ると滝の存在感が極端に薄れてしまう。またアップで撮ると,周りの綺麗な緑や滝壺も広く入れたくなってくるというジレンマに囚われる。
まずは焦点距離の70mmの縦構図と横構図を見てみよう。
次に焦点距離45mmの横構図。
別の角度から、標準50mm。
同じ構図で中望遠70mm。
このようにズームレンズを装着していると、1つの構図を決めれば、レンズ交換なしに様々な構図の写真が撮れるから楽で良い。
焦点距離35mm。これ以上広く撮ると据わりが悪い感じがする。
布曳滝
焦点距離24mmは滝壺が良い具合に入るので、縦にとっても横にとっても収まりが良い。
荷担滝
焦点距離50mmが収まりが良い。もうほんの少しアップでも良いかもしれない。ちなみに快晴の日に撮りに行くと、作例のように左右の明暗差が激しく出てしまう。
スローシャッターだろうが、高速シャッターだろうが、快晴の日は撮るのが難しいを超えて上手く撮れないが、写真ではなく森林浴や目の保養が目的の人には快晴はお勧めの天気。
Lightroomで編集すれば、なんとかなるが、面倒だし、左右の色温度にばらつきが出て、色を合わせるのが困難を極める。
琵琶滝
縦構図45mmが収まりが良いが、広角の16mmや24mmの横構図も滝壺を大胆に捉えて広々としていてダイナミック。
更に引きで16mmで撮ると、雄大な原生林という感じで撮れる。ポール立っちゃってますけどね。
結論としては、16mmから85mm位までの焦点距離で撮れるレンズを持っていけば,問題なく撮れるだろう。
標準ズームレンズと超広角ズームレンズ、足りなければ85mmの単焦点レンズを加える。
この日は24mmの単焦点レンズも持ってきていたのだが、結局標準ズームレンズの方で賄ってしまい使う機会が無かった。単焦点レンズ特有の画質の良さを期待して持ってきていたが、絞って撮るならそう大して変わらないのでは無いかという想いが現地で働いた。
滝もさることながら、木々や絶壁がとても壮大な景観なので、11mmの焦点距離で撮れる超広角レンズや、8mmの円周魚眼を備えた魚眼レンズでも撮りたいという思いに駆られた。