アマチュアカメラマンがプロカメラマンみたいな写真が撮れるように上達する為の近道は?

プロカメラマンの撮る写真に憧れたは良いものの、独学で上達する為にはどうしたら良いの?
プロカメラマンの撮る写真に憧れたは良いものの、独学で上達する為にはどうしたら良いの?

プロカメラマンの記したライティングの本を読んでいると、本当に複雑なライティングで、様々な照明機材を使っていることに舌を巻いてしまう。モデルとなっているのはどれも有名な俳優や芸能人。どこかで見たことのある広告もある。

アマチュアカメラマンがこういったプロの書いたライティングの本を読む時に、何をどう参考にすれば良いのだろう。おそらく本の中にあるようなライティング機材に恵まれたスタジオで撮ることは無いだろうが、光の回り方を学んだり、代用品で近づけることは出来るかも知れない。

第一線で活躍しているプロカメラマンも、始めは師匠と呼ばれるカメラマンの元で、アシスタントとして下積み時代を経て、プロになるというのが、一般的な道筋のようだ。僕の知り合いも或る有名なウイスキーのポスターの広告写真を撮っていたカメラマンの元でのアシスタント時代を経て、プロとして独立したと言っていた。もう十数年も前の話だ。確かあの頃はデジタルカメラはなく、フィルムカメラの時代だったと思う。たまにネットニュースに掲載されている写真に、その知り合いのクレジットを見かけることがある。

プロカメラマンのような写真を撮るには何をすれば良いのか。本を読んでいるだけではダメだ。写真の本を囓って上から目線で偉そうなことを言っていても、写真は全然プロの作例には及ばないという連中を何人も見てきた。カッコつけたことばかり言っていても写真を見れば未熟な技法で撮っているのが分かるのもいた。いわゆる「口だけ」や「意識高い系」と呼ばれる連中だ。この手の連中のいう事は宛てに出来ない。

最も手っ取り早い方法は、とにかく外に出てたくさん撮ることだ。何事も経験を積まなければ上達しない。実際に撮ってみなければ、本だけでは理解できないことがたくさんある。ではどうやってモデルを見つければ良いのだろう。どの方法が一番効率が良いか、僕自身の経験を元に、一つ一つ順を追って考察していくことにしよう。

SNSで素人のモデルを探す

ミクシイなどのSNSで素人のモデルを探す方法がまず始めに思い浮かぶ。ミクシイには被写体希望のモデルのコミュニティが以前あった。

しかし規約でこの手のやりとりが禁止されたので、今はもう出来なくなっていたはずだ。

それに素人のモデルは、色々と面倒だ。まずモデル料を支払わなければならない。相場は1万円くらいだろうか。それに交通費も支給する必要がある。ひょっとしたら車での送り迎えを希望する90年代のバブル時代のままの感覚で生きている女もいるかも知れない。モデルとしての水準に達していなければ、そんな金は払う気も起きないだろう。

それに高いモデル料を払ったからといって、撮影が上手くいくとは限らない。相性だって合わないかも知れない。素人モデル故のトラブルもあるだろう。自然光での撮影やストロボ撮影の技術を高めるために繰り返し撮影するには金銭的にも限界がある。お金持ちでも無い限り、回数を重ねられないのが難点だ。

素人モデルの中から、自分の希望や好みに合うモデルを見つけるのは難しい。

撮影会に参加する

地下アイドルのポートレート撮影会や、可愛い女の子が登録されている撮影会に参加するのはどうだろう。これら撮影会も撮影スキルの向上には役に立たない。

まず費用対効果がすこぶる悪い。地下アイドル系の撮影会の相場は一部3,000円前後だが、実際にモデルと面と向かって撮影出来る時間は一人10分程度と非常に短い。参加者が6~7人くらいいて、一人の女の子を全員で順番に撮っていくシステムだ。二部三部と参加すれば費用も嵩む。ようは地下アイドル系の撮影会は、アイドルオタクやファンから効率よくお金を搾り取るのが目的に過ぎない。じっくりと撮れないから、カメラの設定や自然光の読み方、ストロボ光のスキル向上など到底望めない。

モデル登録制の撮影会は、1時間10,000円前後の相場でマンツーマンでの撮影スタイルだ。好みの女の子に好きな衣装に着替えて貰って撮ることが出来る。しかしこちらも値段が高いし、1時間という時間は、撮影技術を上達させるためには短すぎる。可愛い女の子と時間を共有して楽しみたいのが目的のカメラマンは満足かも知れないが、写真の腕を上げたいカメラマンには合わないだろう。

ライブ撮影をこなす

知り合いにバンドをやっている友達がいたり、地下アイドルのライブに入り浸るのが趣味なら、ライブハウスでライブを頻繁に撮りに行ける。

しかしライブ撮影を幾らこなしても、スタジオ撮影で必要なスキルは上がらない。瞬発的に写真を撮るスキルは上がるだろうが、基本ライブハウスでの撮影はズームレンズを多用し、カメラの設定もほぼ同じになる。F値が写真に及ぼす変化について理解が及ばないし、ISO感度も1600と高めに設定するので、ノイズの多い写真ばかりを撮ることになり、本来そのカメラの持つ描写性能の素晴らしさを楽しめない。

しかもライティングに関してはライブハウスのスタッフがすべて執り行うので、1度カメラの設定を決めたら、演目が終了するまで演者の動きや点滅するライトに合わせてAFでシャッターを押すだけという、非常に単純な撮影になってしまう。激しく動き回る演者の動きやめまぐるしく変わるライティングとの偶発性と対峙しながら撮るのがスポーツのようで楽しいのではあるが、タイミングさえ合えば、余り深く考えなくても簡単にカッコいい写真が撮れてしまうので、カメラの設定やレンズの焦点距離、その他諸々の知識の習得がお座なりになってしまうというのもある。

ライブハウスでの撮影は、写真撮影のスキル向上やカメラの設定に関する知識はあまり向上しないと言って良い。

仲の良い女の子とポートレート撮影をする

女友達がいればポートレート撮影に誘うのはどうだろう。対象となる女の子は、幼なじみだったり、恋人だったり、同じ趣味仲間など様々だが、そういった見目麗しい女の子達を交通費やその日の飲食費を奢るなどしてポートレートに誘い、写真を撮る。

こちらもスキル向上には向かない。何故なら可愛い女の子は、そこそこの美的感性があれば、どう撮ったって可愛く写るからだ。

以前Twitterで、モデルが可愛いだけの写真、背景を暈かしてるだけの写真、高いカメラやレンズの性能に頼っているだけの写真になっていないかというカメラマンの自問自答のツイートが話題を呼んだ。

初心者の写真撮影やポートレート撮影などはまさにこういった状況に陥りやすい。女の子の可愛さや適当に暈かした背景、高性能なカメラやレンズが、特に何も考えなくてもスキルのなさをカバーしてくれる。実際にはカバーし切れてなくて構図やピントや露出の甘さなど馬脚が見えていたりすることの方が多いのだが、昨日今日撮った写真に満足している内は気づかないことの方が多い。

ポートレート撮影というのは、背景を思い切り暈かせば勝ちという所もあるし、女の子が可愛ければ撮る前から勝負が決まっているという面があるのは否めない。

モデルの女の子が可愛ければ、構図がいい加減になる。背景を暈かせば済むという考え方は、F値の加減による絵作りの知恵が及ばなくなる。高性能のカメラやレンズに頼ってばかりでは、最適なカメラの設定の知識が身につかない。

ポートレート撮影も、ライブ撮影と同じく、撮影や機材に関する知識の習得がお座なりになりがちだ。プロとアマチュアの違いとして野球選手を例に語られることがよくある。プロ野球選手は毎日トレーニングを欠かさず体を鍛えて練習を重ねているが、草野球チームのメンバーは仕事があるので、プロの選手のように毎日トレーニングする時間も無い。現実を見れば分かるように、プロとアマとの実力の差は歴然としている。写真も同じで休日にしか撮れないカメラマンが、毎日撮っているプロカメラマンのように撮れるようになるには、それなりの撮影経験や勉強の積み重ねが必要という事だ。可愛い女の子ポトレを撮るのが趣味の休日カメラマンが、一朝一夕でプロのように上手くなれるわけがない。

コスプレ撮影をこなしていく

コスプレ撮影は、プロの現場と似通った点がある。作品愛の強いコスプレイヤーの要望に応えるために知恵を絞って試行錯誤するのは、クライアントの要望に応えて撮るプロカメラマンと似ている。

コスプレ撮影というジャンルは、とかく特殊な撮影スキルを要求されることが多い。ツーショットで片方は暈かして、ピントの合った子の方の心象を表現して欲しいとか、ストロボ光でボールを描いて欲しいとか、集合写真で背景は暗く人物は明るめに撮って欲しいとか、白い斧をピンク色に光らせて欲しいとか、背景の壁を緑色に変えて欲しいとか、花びらを散らすので連写で良い感じに撮って欲しいとか、顔のシミそばかすをストロボで飛ばして陶磁器のような綺麗な肌に撮って欲しいとか、今昼だけど夜みたいに撮って欲しいとか、ベトナムのジャングルの中にいるみたいに撮ってむしろジャングルスタジオ作ってとか、枚挙に暇がない。

これらの要望に応えるためにはストロボを使いこなせなければならないし、カメラの設定についても詳しくなければならない。また現場で知恵を絞って試行錯誤する必要も生じる。必要に迫られて現場での撮影や読書で勉強して座学と実践をクロスさせるので、効率的に写真撮影のスキルが上がる。

それだけではない。撮影が終わればRAW現像が待っている。最適な肌の色に変えたり、フォトショップでHDR風に加工したり、注ぎ込んでいるスキルは映画用ポスターの写真編集とほぼ同じなのではないだろうかとふと思う時がある。

そう考えると、コスプレ撮影をこなすことでプロカメラマンが日々やっている仕事の内容に近づけるのではないだろうか。

コスプレ撮影の良い点は、費用は基本自己負担である点だ。スタジオ代は折半、衣装はレイヤー自身が用意する。撮影内容によってはレイヤーがスタジオ代や交通費を負担してくれることもある。ようはギブ&テイクでWin-Winの関係だ。上述した他の撮影のようにWin-loseの関係に陥る確率が低い。(もちろん撮影内容によっては、相互負担とWin-Winのバランスが著しく崩れることがあるので、人間関係が破綻することもしばしばある。)

経験を積んできたら、様々な機材が欲しくなってくる事だろう。単焦点レンズ、広角レンズ、望遠レンズ、ストロボ、カラーフィルター、アンブレラ、ソフトボックス、グリッド、プロジェクター・・・。他のジャンルの撮影ではまずそこまで揃えることはないであろう様々な機材が欲しくなってくる。機材が充実していけば、今までとは違ったワンランク上の写真が撮れる事は間違いない。もちろんきちんとした機材の選定と、使い方を学ばなければならないが。

結論が出た。コスプレ撮影こそ、プロカメラマン並みに写真が上達できる一番の近道だ。費用対効果も優れているし、良い写真を撮ればレイヤーに喜ばれる。交流も楽しい。というわけでカメラを始めた皆さん、老いも若きも男も女もコスプレイヤーズアーカイブに登録して、コスプレ撮影に参入しましょう。