初めて逆光で撮ることを知った日 -女性を最高に美しく縁取る光-

11月下旬の夕暮れ時に撮影。逆光が髪を黄金色に輝かせる。
11月下旬の夕暮れ時に撮影。逆光が髪を黄金色に輝かせる。

コスプレ撮影を始める前は、ポートレート的な写真を撮るのは年に数回、地下アイドルの撮影会に参加する時くらいだった。それまでは地下アイドルライブに誘われてライブをよく撮っていた。しかしライブ撮影はポートレート撮影とは言えない。同じ人物撮影だが、ライブ撮影とポートレート撮影派、カメラの設定やレンズの選別基準からして大きく異なる。

ゆえにカメラの設定も余りよく分からず、ズームレンズを使って撮っていた。ある寒い冬の日、港で撮ることになった。逆光で撮ることを学ぼうと、アーティスト撮影の第一線で活躍しているプロのカメラマンも連れての撮影会だった。

さて実際に逆光で撮ってみるとなると大変だった。まずピントが合わない。逆光が眩しすぎるのだろう。主宰のカメラマンにマニュアルフォーカスでピントを合わせるように言われたが、AF全盛の時代にマニュアルフォーカスなんて難しい。

今になって振り返ってみると、この時は太陽光を一度フレームアウトさせてモデルにAFでピントを合わせ、フォーカスロックで構図を再構築してから逆光で撮れば良かったのだけれど、ポートレート初心者の自分にはそんなアイデア思いつきもしなかった。

カメラがキヤノンの初代5Dだからというせいもあるかも知れないが、今メインで使っているフラッグシップ機の1DXでも逆光でピントを合わせるのは至難の業だ。

何気ないショットがモデルの魅力を一番引き出していたりする。
何気ないショットがモデルの魅力を一番引き出していたりする。

11年前に発売されたCanon 5DとEF24-70mm F2.8L USMの組み合わせで撮影した写真を見返してみたのだが、野外では1DXに劣らず美しく写る。やはり初代とは言えフルサイズ機であることと、キヤノンのLレンズの成せる技なのだろう。

逆光でのピントに合いづらさに四苦八苦していたのだが、太陽も沈みかけると、光が優しくなるのか、逆光の撮影でもAFが合いやすくなった。こうして振り返ってみると、この時に逆光で撮った写真が一番美しかったかもしれない。

というのも、他の参加者がレフ板を持ってくれているからだ。しかも銀レフの方で、下からではなく、レフ板を持ち上げて光を当ててくれている。モデルの近くに大きなレフ板で光を跳ね返しているので、目に大きくて丸いキャッチライトが入り、モデルの顔が明るいだけでなく、より美しく見える。

下からレフを当てるのではなく、レフを持ち合えてくれている。レフ板も大きいので、大きなキャッチライトが入り、モデルがより可愛く見える。
下からレフを当てるのではなく、レフを持ち合えてくれている。レフ板も大きいので、大きなキャッチライトが入り、モデルがより可愛く見える。

最近のコスプレ撮影ではどうしてもアシスタントがなくても立てかけられるロールレフに頼ってしまい、モデルであるコスプレイヤーの近くに丸レフを置くということが出来ない。

この日初めて逆光で撮ることを覚えた。あれからはや数年。野外やスタジオで様々な撮り方を習得してきたが、いちばん愉しいのは、逆光でその日の内で最高に美しい写真を撮ることだ。