シンメトリーは美しい

シンメトリーは無意識のうちに美しい印象を与える。
シンメトリーは無意識のうちに美しい印象を与える。

このブログでも度々構図について言及してきた。構図の描く線は幾何学的であり、故に見る者の目に美しく映ると。

しかし実際に現場での撮影で構図を意識して撮ることはそんなにない。ないと言ってしまえば語弊があるかも知れない。意識することはあるが、大抵のシーンでは日の丸構図と3分割構図で何とかなる。写真を撮る際の構図については、この2つさえ抑えておけば、幅広く応用が利くのではないだろうかというのが実感だ。

というのもその他の構図、S字構図だったり、水平垂直の2分割構図だったり、4分割構図だったり、トンネル構図、放射線構図、果ては黄金比率構図などは、特殊な構図過ぎて、使えるシーンが限られ、先の2つの構図と比べると汎用性に欠ける性質があるからだ。

これほどハッキリとしたS字構図の被写体は滅多にお目にかかれない。
これほどハッキリとしたS字構図の被写体は滅多にお目にかかれない。

だから咄嗟の引き出しとして覚えておくには良いが、人間の脳には限りがあるので、いざというときに出てこないことが多い。風景写真など、腰を据えてじっくり撮る際には構図を綿密に計算する事があるかも知れないが、ポートレート撮影、事にコスプレ撮影ともなると、相手があることなので、じっくりと腰を据えて撮る暇もない。モデルが次々と積極的にポーズを変えてくるので、矢継ぎ早に撮らなければならない事の方が多いのだ。

そうして後になってデータを確認する時に、「あ、これ、S字構図になってる」とか「放射線構図だ」と気づかされることがある。こちらの集合写真にしてもそうだ。菱形構図になっていたのは、家に帰ってデータを確認して、何気に構図について思うことが出てきて、試しに目視で線を引いてみてから気づいた。

V字型集合写真に隠された構図

とはいうものの、先日は、美しいシンメトリー構図であることに撮影時に気づかされる体験をした。

まずは背景の王宮を思わせる豪華な扉がシンメトリーだった。そしてここで撮ろう撮ろうと言い出した二人の取ったポーズもシンメトリーだった。そこにカメラを握る僕がファインダー越しに、二人が握る金色のドアノブを中央に添えた。3つの偶然から美しいシンメトリー構図がその場で完成したというわけだ。

3つの偶然が重なって、シンメトリー構図が生まれた。
3つの偶然が重なって、シンメトリー構図が生まれた。

こうして写真を見てみると、シンメトリー構図がいかに美しく目に映るのかが実感できる。日の丸構図、3分割構図に続いて、シンメトリー構図の美しさが深く脳裏に焼き付いた1日だった。