或る1日の雪の降り方

雪の降り方は気まぐれ。
雪の降り方は気まぐれ。

日本の冬の恋をテーマにしたポップスと言えば、人口に膾炙した歌がある。JRが冬になると必ず流している山下達郎の「クリスマス・イブ」だ。雪が降る中、この歌を口ずさみながら或る公園で撮影に勤しんでいた。今降ってる雪が逆に雨に変わったら嫌だなぁなんて独りごちながら。

この日は朝からどんよりと曇っていたが、ロケ地について撮影を始める頃になると、小さな雪がちらほらと降り始めては止んだ。天気予報は曇り時々雪。なるほど雪が降るって天気予報は本当に当たるんだなと、その後物凄い吹雪に見舞われて、寒さに凍える中で新鮮な気持ちになった。

始めはちらほらと降っていた雪が、とりあえず止んで、止んだと思ったら降り始めて、なかなか大降りの雪になってきて、こんな絶好な機会はない、撮ろう撮ろうと機材を準備している間に雪が止んで、そんな事の繰り返しだった。

次に撮る場所が修復工事中だったので、さっき撮った場所で雪待ちすることにした。そうしたら雪が降ってきた。バシャバシャ撮っている内に吹雪になり、やがて大振りのふんわりした雪へと変わった。そして、やんだ。

ショルダーバッグに積もった雪を見ると、何だか金平糖を二回りほど小さくした形の硬い感じの雪だった。写真に映えるとしたら、大降りのふんわりした雪の方だろう。何故なら大降りの雪は、ゆっくりと空を舞うからだ。シャッタースピードが遅くても写真に収めやすい。

吹雪のような雪を捉えるには、シャッタースピードを速く設定する必要がある。そして雪を捉えるには200mm以上の望遠レンズが最も効果的だ。しかし手ブレしないシャッタースピードはこのレンズを使った場合、最低でも1/320秒は欲しい。それより遅くすると、寒さと手に伝わってくるカメラの冷たさも相まって、手ブレしてしまいがちになる。

Canon EF200mm F2.8 II USM。圧縮効果が雪を美しく捉える。
Canon EF200mm F2.8 II USM。圧縮効果が雪を美しく捉える。

オマケに曇っていて暗いから、そのシャッタースピードだとISO感度を思い切って上げる必要がある。この日はISO感度を1600まで上げたが、それでもやや暗めだったので、パソコンで後から明るくした。

俄然、ゆっくりと空を舞う雪の方が撮りやすいし、写真に収めやすくなる。絵にもなる。という理屈を述べてみた。

実際にどの写真が吹雪いている時の雪で、ふんわりと降っている時の雪か、家に帰って写真を見渡してみても分からなくなったので、結論が出せないでいる。しかし現場で撮った感覚では、ふんわりと降っている雪の時の方が撮りやすいイメージだった。

この日の雪の特徴としては、まずちらほらと降り始め、降る量が増え、吹雪になり、ふんわりとした優しい雪に変わった。歌のようにはいかない。

もしこれが晴れているときの雪だったら、逆光で綺麗な写真が撮れただろうと二人で話しながら午後3時前に帰ろうとしたのだが、公園の門を出たところでまた雪が降り出した。今度は日の光の中でゆっくりと舞う雪だった。何ともタイミングの悪い雪ばかりだと痛感した1日だった。

咄嗟にカメラを取り出し咄嗟に撮った。雪撮影は時間との闘いでもある。
咄嗟にカメラを取り出し咄嗟に撮った。雪撮影は時間との闘いでもある。

或る1日の雪の降り方なので、参考になるかどうかは分からないが、忘れないように書き記しておく。