鞍馬寺〜貴船神社〜貴船口駅 – まほろば探訪 第21回

貴船口駅のライトアップ。皆感嘆の声をあげていた。銀杏なので実際の色はもっと黄色い。
貴船口駅のライトアップ。皆感嘆の声をあげていた。銀杏なので実際の色はもっと黄色い。

清水寺の美しい景色を堪能して体に微熱がこもったまま就寝。翌日、微睡のなか余韻を駆って再び京都に向かう。一日チケットを買っていたので、鞍馬・貴船あたりを狙ってみたが、途上に今年の5月頃に訪れた瑠璃光院がある。今紅葉の真っ盛りだろうから寄ってみようかとツイッターで調べてみたら、仮設のテントを張ってチケット販売するまでの盛況ぶり。2時間待ちみたいな話だったので、鞍馬寺に目的地を絞ったのだった。

大きな天狗のお面がお出迎え。鞍馬天狗ってひょっとしてこれのことかしら。
大きな天狗のお面がお出迎え。鞍馬天狗ってひょっとしてこれのことかしら。

叡山電車の終着駅で降りると、大きな天狗がお出迎え。駅前には焼きたてのパンや鮎の塩焼きを売っている屋台があった。いい匂いがするのでシュークリームを一つ買って腹ごなし。飲食店もあるのだけれど、混んでいたのでスルー。

鳥居をくぐる。奥には御神木が。
鳥居をくぐる。奥には御神木が。

少し歩くと神社がある。初めて御朱印状を買った。そこからさらに奥へと進む。階段や坂道を登るようにして歩くのだけれど、不思議とあまり疲れない。真夏にみなと神戸花火大会の花火を撮りに市章山まで登った時は、入り口のビーナスブリッジに辿り着いた時点で心臓が破裂しそうだったのに不思議なものだ。この日は荷物が軽かったし、肌寒かったせいもあるのだろうか。

ひっそりと佇む。
ひっそりと佇む。

途中見上げると銀杏などが色づいている。しかしこれといって写真に収めるようなものは見当たらず、森林浴といった程。

森林の中でひっそりと紅葉していたモミジ。
森林の中でひっそりと紅葉していたモミジ。

ぐんぐんと登って行き、鞍馬寺に到着。紅葉を前に比叡山などが見渡せる。

見晴らしの良い眺めかな。向こうの山は比叡山らしい。
見晴らしの良い眺めかな。向こうの山は比叡山らしい。

なにやらパワースポットという場所らしく、地面が円の中に星型をあしらった模様に整備されていて、この中央に立つとパワーを貰えるらしい。皆一列に並んで待っている。中央で両手を広げる40代くらいの女性の姿を見て、これはまるでNHKのあさイチの取材VTRで見るような爽やかな光景だと感じ入る。いやしかし皆が見ている前であのポーズを取るのは恥ずかしいなと思いながらもその後ろに続く本堂に行くついでに列に加わった。順番が回って来たので厳かな気持ちで前へ進み早速両手を上げてみる。本当にこれで気が溜まるのかな。

本堂でお参り。手を合わせて色々お願い事をする。せっかくここまで登ってきたので、御朱印帳を購入して御朱印を記してもらう。見上げると「御朱印状はスタンプラリーではありません」の一文が。ちゃんとお参りしてくださいとのことだった。

立ち入り禁止になっていた階段。
立ち入り禁止になっていた階段。

本来ならここから先に登って、義経公ゆかりの場所を見て貴船神社に抜けられるのだが、なにやら台風に伴う豪雨の影響で地滑りしたらしく、危険とのことで立ち入り禁止になっていた。元来た道を戻る。

時間もあまりない。ここからどこへ行くか考えあぐねる。叡山電車の駅舎にライトアップされた夜の紅葉が写っている綺麗なポスターが飾ってあった。一つは瑠璃光院だ。今年は夜の特別拝見も行うとのことでスマホで検索して見たが、事前予約制ですでに予約はいっぱいなので諦めた。

叡山電車鞍馬駅にて。
叡山電車鞍馬駅にて。
グラデーションが綺麗。
グラデーションが綺麗。

叡山電車といえば、窓が広く取られた展望列車きららに乗ると、線路沿いの紅葉の景色をより楽しめる。夜のライトアップもやっているらしい。電車は頻繁にやってくるが、特別仕様の展望列車きららは本数がやや少ない。時刻は午後4時ごろだった。ライトアップは午後4時半から始まるがまだ明るいだろうから、これも諦めて貴船神社に向かうことにした。鞍馬寺の駅から電車で一駅だ。

貴船口駅で降りて、そこから徒歩で2、30分ほど歩く。160円でバスも出ていたのだが、人の流れに従って歩いて行ったらバスに乗りそびれた。特に見るものがないので、荒々しい山林の景色が大好きという人以外はバスがオススメ。

峻厳とした森林。
峻厳とした森林。
臨時バス降り場を過ぎると、川に手描きの灯篭がたくさん灯っていた。
臨時バス降り場を過ぎると、川に手描きの灯篭がたくさん灯っていた。

さて貴船神社の鳥居前に到着。写真で見るより入口も参道もやや狭い印象を受けた。すでに人でいっぱい。皆スマホや一眼で写真を撮っている。

貴船神社の参道。紅葉は残念ながら全枯れしていた。
貴船神社の参道。紅葉は残念ながら全枯れしていた。

朱の灯籠が両側に並ぶ参道を登っていくと、本堂に到着。階段があり、篝火がいくつか灯っている。皆スマホで灯篭の写真や自分たちの記念写真を撮っている。スマホの登場で一億総写真家の趣がある。

篝火が暖かい。気分は元旦の初詣。
篝火が暖かい。気分は元旦の初詣。

酒粕入りカレー500円。買って即席のテーブルについて食べる。日本酒の瓶は並んでいたが売り切れみたいだ。腹ごなしをしてから、本堂でお参り。そして御朱印状を書いてもらう。冷たい空気が頰を撫でる。この賑わいといい篝火といい、まるで気分は正月の初詣だ。

落ち葉が灯篭に貼り付いていた。
落ち葉が灯篭に貼り付いていた。
歴史を感じさせる。
歴史を感じさせる。

帰りの参道で写真を撮っていたら、中学生か高校生くらいの女の子二人に呼び止められ写真をお願いされた。スマホを受け取り、灯篭を入れつつ撮影したが、慣れない撮影は難しい。がっかりされなかったか気になる。

そういえば一昔前は一人で歩いていたら自分たちのコンデジで写真を撮ってくれるよう頼まれることが多かったが、最近はめっきり少なくなった。セルフィーがあるし、スマホのインカメを使えば自分たちでも撮れる。わざわざ頼む必要もなくなったのだろう。この日は珍しく頼まれて少し嬉しかった。

寒いのでバスに乗って貴船口駅まで帰路につく。改札へと続く古い土産物屋を通り過ぎるとパノラマに広がる黄金色の光景が目に飛び込んできた。ライトアップされた銀杏。こんなのがあったのかと驚く。この時の感動を写真でどう伝えたらいいのか。色々試行錯誤して、超広角レンズで手前が人影になるように暗めの設定で撮ってみた。

パノラマに広がる銀杏のライトアップ。電車を数本乗り過ごしても観ていたい。
パノラマに広がる銀杏のライトアップ。電車を数本乗り過ごしても観ていたい。

人の良さそうな駅員も我が事のように嬉しそうに応対している。帰りの電車も途中でスピードを緩めて消灯し、車窓にライトアップされた紅葉が広がる。これは素晴らしい。これほどまでに素晴らしい景色で旅の最後を迎えられるとは。ありがとう、叡山電車。ありがとう、京都。

さて、この日は一ついいこともあった。鞍馬寺のパワースポットのお陰だろうか。お参りの効用だろうか。人生とは不思議なものだ。