1000000人のキャンドルナイト@OSAKA CITY 2016 Summer 西梅田ナイト – まほろば探訪 第6回

参加するアート、キャンドルナイト西梅田は今年で11年目を迎える。
参加するアート、キャンドルナイト西梅田は今年で11年目を迎える。

2016年6月8日に西梅田で開催された1000000人のキャンドルナイト@OSAKA CITYに遊びに行ってきた。ビルの電気を消して蝋燭だけの明かりを楽しもうというイベント。環境問題を考えるきっかけにもなればとの思いも込められているという。

西梅田一帯はビジネス街一色で、冷たい灰色のイメージがある。一流ホテルや一流ブランドのテナントが入ったビルが並ぶ。ビジネスビルや劇団四季のオシャレなビルもある。そんな殺風景で無機質な空間の中で蝋燭の暖かい色が灯るイベント。夜8時から10時までの2時間がビルの消灯時間とのことなので、8時20分頃に足を運んだ。地下鉄の通路から期待に胸を踊らせつつ地上に出ると、早速透明の壜の中に灯された蝋燭がお目見えした。

様々な形のキャンドルアートが展示されていた。制作には関西の専門学校生が参加。
様々な形のキャンドルアートが展示されていた。制作には関西の専門学校生が参加。

西梅田の通りに大阪の専門学校生や美大生などのキャンドルを使った作品が通りに展示されている。日本列島をあしらったキャンドル作品や、巨大な鶴、繭、バージンロードなど、アーティストの卵たちの作品が展示されていて、見ているだけでも楽しい。参加型のアートイベントの趣があり、「繭」という作品では、制作者の若い女子学生が、しきりに真ん中にある椅子に座ってください写真を撮っても良いですよとすすめていた。

巨大な鶴
巨大な鶴

写真を撮りに行ってきたのだった。1DXにするか5DsRにするか迷ったが、おそらくISO感度を上げての撮影になるだろうと、高感度撮影に強い1DXを持って行くことにした。

レンズはいつものOtus1.4/55とOtus1.4/85、暈け描写を期待した。広くも撮りたかったので、CanonEF16-35mmF2.8L Ⅱ USMを持参。

夜で、ビルの明かりも灯らないということだったが、ちらほらと灯っていた。やはり全ビル全フロア全消灯というのは、ビジネス街では難しいのだろう。それでも蝋燭は暗闇の中で綺麗に灯っていた。

キャンドルナイト西梅田 サマー 2016 キャンドルナイト西梅田 サマー 2016 キャンドルナイト西梅田 サマー 2016

1DXにOtus1.4/85を装着して、F値は開放1.4に設定。ISO感度は200、手ブレしないぎりぎりのシャッタースピード1/160秒で手持ち撮影。あらゆる収差を徹底的に排除したOtusを付けていると、開放でしか撮りたくなくなる。特にこんな暗い夜のシーンでは、開放での撮影は、高感度撮影のノイズから逃れられるし、何より蝋燭の明かりが綺麗に丸く暈ける。

キャンドルナイト西梅田 サマー 2016 キャンドルナイト西梅田 サマー 2016 キャンドルナイト西梅田 サマー 2016

85mmの焦点距離なら、蝋燭の前で撮影している人たちの隙間を狙って、蝋燭を引き寄せて撮ることも出来る。そんな撮影環境から55mmの出番はほとんどなかった。日本列島をあしらった広いキャンドル作品を撮ろうと思った時に上から狙ってみたが、それでも入りきらない。そんな時は超広角ズームレンズの出番だろう。

しかしこういったイベントで小さな被写体を撮るなら、武骨な一眼レフデジカメよりも、より小さな高級コンパクトデジタルカメラの方が良いのではないかとも思った。というのも、標準レンズや中望遠レンズを装着した一眼レフデジカメでは蝋燭に寄れない。

超広角ズームでなら寄れないこともないが、通りが混雑しているのでレンズ交換が面倒な上、どうも広く写りすぎるきらいもある。コンデジなら近くに寄れるだろうし、フレームの収まりも良いのではないだろうかと思ったのだ。ただしこれは暈け表現を除けばの話だが。

コンデジの利点は小回りがきくことだ。武骨な一眼レフデジカメは、夜間でも綺麗に写せるし暈け表現も得られるが、なにぶん大きいために小回りがきかない。狭い空間に入り込めない。その点コンデジはその名の通りコンパクトなので、蝋燭の近くに寄ったり、下から撮ったり、オブジェの隙間に入り込んで撮ることも出来る。

ふと思ったが、コンデジは撮影者の感性を反映しやすく、一眼レフデジカメは撮影者のスキルを反映しやすいのではないだろうか。小回りがきくという点でコンデジは構図を自由かつ大胆に取りやすく、背面液晶ということもあり、撮影者が頭の中で思い描いているイメージをそのまま写真へ落とし込みやすい。一方一眼レフデジカメはレンズの特性を把握してカメラの設定をいじることで幅広い表現を演出する。どのような表現も可能な反面、撮影者がカメラやレンズを使いこなせなければ、本来写真に備わっているはずの感性が上手く表現されない。

撮影者のイメージがそのまま出るのがコンデジで、カメラやレンズの性能が前面に顕れてくるのが一眼レフデジカメのような気がする。

コンデジやスマホで撮っている人たちを見て、ふとそんな戯れ言が頭の中を駆け抜けていったのだった。

キャンドルナイト西梅田 サマー 2016 キャンドルナイト西梅田 サマー 2016 キャンドルナイト西梅田 サマー 2016

場所によっては暗いのでISO感度を500や1000まで上げる必要もあった。しかしさすがはキャノンのフラッグシップ機1DX、ISO1000程度ではノイズは気にならない。掲載写真はそこから更に半段(DPPで+0.5)明るさを上げている。

ISO感度1000で撮影。
ISO感度1000で撮影。
ISO感度800で撮影。
ISO感度800で撮影。

開放ばかりで撮るのもなと思い、F2.2やF2.8まで上げてみたが、すぐに開放に戻した。やはり暈かして撮るのが良い。蝋燭の優しい明かりの影響か、まったりとした時間が流れる。蝋燭の一つ一つに込められた人々の思いがそういう気持ちにさせているのかも知れない。

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ビルの点灯時間が来たということで、スタッフが蝋燭を吹き消して回った。写真を撮りながらでは一時間半ではとても回りきれなかった。どうせならまだ明るい19時前くらいから来ても良かったかも知れない。夏と冬二回開催されているので、また半年後に訪れてみることにしよう。