白飛びを活かして美しいコスプレ写真を撮ろう

羽根飾りが神々しい。
羽根飾りが神々しい。

白飛びというと、失敗写真のような言われ方をする事が多い。実際にコスプレ写真を撮っている時でも、データを確認して貰って、白飛びしているからもう少し暗めに撮って欲しい、という要望がコスプレイヤー側から常にある。

しかし白飛びは失敗写真だろうか。この点に関してはプロカメラマンの間でも意見が真っ二つに分かれている。特に風景写真の分野では白飛びは俎上にのぼるようで、今年12月のデジタルカメラマガジンでも、なぜ白飛びがいけないのか/許容できるのかを、各カメラマンが解説していた。

コスプレ写真における白飛びは、衣装の白飛びの他に、ウィッグの白飛びが上げられる。とかく黄色や水色、灰色、白のウィッグは白飛びしやすい。通常のポートレートと異なり、特殊な髪の色なので、ポートレート写真の時と同じ感覚で撮っていると、簡単に白飛びして仕舞いがちだ。

常に白飛びとは格闘しているのだけれど、むしろ白に飛ばしてしまった方が良い場合もある。

先日ユーリ on iceのコスプレ写真をハコスタジアム大阪の黒ホリゾントで撮影していた。衣装はユーリのスケート衣装。銀のスーツを基調に、肩が白い羽で飾られている、どことなくロシアの白鳥を連想させる耽美的な衣装だ。

背景が黒なので、白飛びさせるとむしろ都合が良い。これが白ホリゾントなら、白の背景に溶けてしまっていた事だろう。その場合は白ホリゾントが灰色っぽくなるくらいにカメラの設定を暗くして撮れば良いのだが、今回は黒ホリゾント。白で飛ばしても羽根の形はクッキリと分かる。

斜め後ろからのストロボ光が、衣装の羽根を白飛びさせて輝かせる。以前クロスフィルターを使った写真の記事でも紹介したが、白飛びは衣装を輝かせる効果もあるのだ。

どこでもこういった写真が撮れるわけではない。条件は暗めの場所、特に黒ホリゾントならコントラストが明確になるので、効果が高い。

常識に囚われていると良い写真を撮る機会を逃してしまう。写真撮影では常に常識を覆すよう心掛ける事も重要だ。人とは違う写真とはそういった所から生まれるのだろう。